Chapter3.「冬道の安全」
氷雪路の要注意ポイント
注意が必要な状況について
(資料提供:北海道開発局建設部道路維持課/社団法人 雪センター青森県警本部交通部交通企画課)
気温0℃前後の「水膜」に注意
スリップの原因となる路面とタイヤトレッド部の間の「水膜」が最も発生しやすいのは気温0℃前後の路面。0℃をはさんで気温が上がったり、下がったりする場所・季節・時間帯における路面は危険度が高い。特に荷重が大きく接地圧が高いほど「水膜」は発生しやすくなることを頭に入れて、状況に応じた運転を。
除雪直後は滑りやすい
除雪すれば走りやすいが、除雪グレーダの刃(ブレード)によって路面が平滑になり過ぎてつるつる凍結路状態になるなど、逆に滑りやすくなる場合もあるので注意。
ブラックホール・ホワイトアウト現象
雪晴れの日に急に暗いトンネルに入ると、目が慣れず真っ暗に感じられるのがブラックホール現象。逆に暗い場所から急に明るい場所に出て眩しさで目がくらむのがホワイトアウト現象。晴れた日にはサングラスの用意を。
高速道路のワダチの溜まり水に注意
ワダチの溜まり水は、圧雪路面にもシャーベット路面にも発生する。水の中に入れば滑るだけでなく、追い越していく車や対向車に水をかけられ、一瞬目の前が見えなくなることも。こうした状況で急によけようとするのは大変危険なので、高速道路では充分な車間距離が重要。
「幹線道路を降りた時」に潜む危険
意外に注意が必要なのは、国道とは除雪レベルが違う市町村道。札幌市のデータによれば、平成4年以降国道での事故数はスパイク時代同等まで減少しているにも関わらず市道は増加したまま。集荷や配送で、幹線道路を降りた時は、決して急いだり油断したりせずに、状況をよく見ながら運転を。
厳しい状況でのチェーン装着時の注意
降雪が激しいなど、厳しい状況下でチェーンの装着をする場合、以下の点に注意しましょう。
- 複輪には内外両輪への装着が基本。
- チェーン装着時にスピードを出し過ぎるとチェーンが切れてタイヤがバーストしたり、タイヤに巻き付いて走行不能となる。
- チェーンの装着が適切でないと、走行中に切れてしまい危険。
事故の多い場所や時間帯について
峠は下りと空車時に注意
峠部における事故で多いのは下りカーブの凍結路面で曲がりきれなくなって、対向車と正面衝突するケース。特にトレーラはこのケースが多い、上り坂では、積み荷を降ろした帰路にチェーンの用意がないために、坂道を登れなくなるケースが多い。
追突は市街地、正面衝突は非市街地で発生
どちらも30〜40km/hの低速度で多発。市街地では交差点付近での追突事故が多発。非市街地ではカーブにおける正面衝突が多い。青森県交通部の調査によれば、カーブでのスリップ事故の75%は第1当事者にとっての左カーブで発生。単純なスピードの出し過ぎではなくカーブ手前での減速不足と、それに伴うブレーキ操作のミスなどにより、対向車線にハミ出して対向車と正面衝突するケースが圧倒的に多い。追突、正面衝突どちらの事故も低速度での発生が過半数を占める。スピードを出さなければいいのではなく、充分な車間距離、カーブにおける適切なスピード制御が重要。
その他覚えておきたいポイント
(資料提供:日本ハイウェイセーフティ研究所)
タイヤハウスの雪に要注意
積雪の多い高速道路などを走行するとタイヤハウスに雪が詰まり、高速道路を降りた市街地でハンドルが効かなくなる事故も意外と多い。高速道路を降りる前はパーキングエリアなどで点検を。
スペアタイヤの管理は万全に
東名高速道路では雪の消えた路面で、切れたチェーンの破片を踏んでタイヤバーストを起こす事故が多発。富士〜大井松田間では一晩に20件以上起きたことも。スペアタイヤはいつでも履き替えられるよう万全な管理を。
晴れていれば雪道は「明るいから視界良好」は大きな誤解
明るさは晴れの日中で約10万ルクス、曇りで約6000ルクス以下で、雪が積もっていてもこれは大きくは変わらない。眩しく感じるのは反射光が強いためで、白一色で覆われた雪道では、風景にコントラストがなく、距離感が混乱しやすくなる。晴れているからといって、よく見えているわけではないので、油断は禁物。
氷雪路事故を起こさないための3つのポイント
- 1割のスピードダウン
- 2倍の車間距離
- 3分早めの出発
(青森県警本部交通部交通企画課:ドライバー向け標語より)