スタッドレスタイヤの寿命は何年?年数の目安と交換タイミングの見分け方
冬の運転に欠かせないスタッドレスタイヤですが、「何年もつのか」「いつ交換すべきか」と悩む方も多いでしょう。安全性能を維持するためには、適切なタイミングでの交換が重要になります。
本記事では、スタッドレスタイヤの寿命の実際の目安と、具体的な交換タイミングの見分け方について詳しく解説していきます。スタッドレスタイヤを交換するタイミングが知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
スタッドレスタイヤの寿命は何年?
スタッドレスタイヤに限らず、タイヤの寿命は以下に該当する年数が基準です
- 使用開始から5年経過したとき(点検を推奨するタイミング)
- 製造から10年経過したとき(交換を推奨するタイミング)
タイヤはゴム製品であり、ゴムは特性上、使用していなくても時間とともに劣化する性質があります。劣化するとゴムから油が揮発し、次第に柔軟性が失われていきます。
特に、スタッドレスタイヤは、凍った路面で滑らないよう夏タイヤよりも柔らかいゴムでできているため、劣化して硬くなると滑りやすくなり、危険です。

使用開始から5年経過したタイヤは、継続使用に問題がないかどうかを、タイヤ専門店などで見てもらいましょう。製造から10年経過しているタイヤについては、安全面での性能が保証されないため、新しいタイヤへの交換がおすすめです。
なお、この5年・10年という数字はあくまで目安であり、走行する路面環境や運転の仕方、保管方法などにより前後することがあります。
状態で判断するスタッドレスタイヤの交換タイミング
スタッドレスタイヤの寿命は、使用年数や製造後年数が一つの目安ではあります。ただし、以下のような状態になったら、年数に関係なく、速やかなタイヤ交換が必要です。
- プラットホームの出現
- コードに達するひび割れやキズ
- 偏摩耗
- ピンチカット
それぞれの状態について、詳しく見ていきましょう。
プラットホームの出現
スタッドレスタイヤは、溝の深さが50%以下になると性能が低下します。そのため、溝の深さが50%に達すると、交換の目安として突起(プラットホーム)が出現します。プラットホームが出現したら、できるだけ早急にタイヤを交換しましょう。
突起(プラットホーム)がある場所は、タイヤ側面に表示されている矢印で確認できます。定期的にチェックしてください。

コードに達するひび割れやキズ
タイヤのコードに達するひび割れやキズが発生したら、すぐにタイヤの交換が必要です。
コードとは、タイヤの骨格を形成し、タイヤの受ける荷重や衝撃、充てん空気圧に耐える役割を持つ重要な部分です。コードに達するほどのひび割れやキズを放置したまま走行を続けるとタイヤがバースト(破裂)し、事故を引き起こす恐れがあります。

偏摩耗

偏摩耗とは、トレッド部(路面との接地面)が異常に摩耗する現象のことです。
タイヤと路面との接地面積が減るため、ブレーキ性能が正しく発揮できなくなる恐れがあります。そのため、偏摩耗が見られる場合は速やかなタイヤ交換を行いましょう。
ピンチカット

ピンチカットとは、タイヤの側面の一部が膨らむ現象です。縁石に乗り上げるなどして、タイヤに大きな衝撃が加わることで、タイヤのコードが切れ、その部分が膨らみます。
ピンチカットを無視して走行を続けると、タイヤがバースト(破裂)する危険があります。
この状態になったタイヤを修理することはできないため、交換が必須です。

タイヤのピンチカットとは?危険性や原因を解説
ピンチカットの原因と予防策、対処法を解説します。
スタッドレスタイヤの寿命のサインを無視して使用を続けるリスク
スタッドレスタイヤの寿命サインを無視して走行を続けると、以下のようなリスクが発生します。
- ブレーキが効きにくくなる
- ハイドロプレーニング現象の発生
- バースト(破裂)の発生
- これらに起因する事故の発生
それぞれ見ていきましょう。
ブレーキが効きにくくなる
スタッドレスタイヤは、夏タイヤと比べてゴムが柔らかく、細かな切れ込みがたくさん入っているのが特徴です。この設計により、雪が溶けた路面の水を除去し、凍った路面にタイヤがしっかりと密着します。
しかし、経年劣化によりゴムが硬くなったり、溝が浅くなったりすると、これらの特性が失われてしまい、滑りやすくなってしまいます。
ハイドロプレーニング現象の発生
ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に水膜ができ、タイヤが浮いてしまう現象のことです。タイヤの溝が浅くなると、タイヤと路面との間にある水をかき出す力が低くなるため、ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。
この現象が起こると、制動距離(ブレーキが効き始めてからクルマが停止するまでの距離)が長くなったり、ハンドルやブレーキが効かなくなったりします。
バースト(破裂)の発生
コードに達するひび割れやキズ、ピンチカットは、タイヤがバーストする恐れがあります。
バーストはタイヤが一瞬で破裂する現象です。ハンドルやブレーキが効きにくくなるため、車両の制御が難しくなります。
これらに起因する事故の発生
タイヤの滑り、ハイドロプレーニング現象、バーストを起因として、事故を招くリスクにも注意しなければなりません。例えば、タイヤが滑ってしまうと、前のクルマに追突してしまう可能性があるでしょう。
スタッドレスタイヤは、氷雪路で滑らずに安全に走行できるよう設計されています。しかし、タイヤはゴム製品であり、使用や時間とともに、その性能は失われていきます。
ドライバーや同乗者の命を守るために、スタッドレスタイヤが示す寿命のサインを見逃さず、必要に応じて交換を行いましょう。

タイヤのバーストとは?原因や対処法を解説
バーストの原因と予防方法を紹介します。
スタッドレスタイヤの寿命を伸ばす方法
スタッドレスタイヤは、適切なメンテナンスと使用方法により、タイヤの性能を長期間維持することが可能です。
ここでは、スタッドレスタイヤの寿命を延ばし、安心安全なカーライフを送るために必要な6つの方法をご紹介します。
- 適正空気圧を維持する
- 定期的にタイヤの装着位置を変える
- 路面環境に合わせて夏タイヤに変える
- 安全運転を心がける
- 適切な環境に保管する
- 定期的な日常点検を行う
これらの対策を実践することで、コストパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
適正空気圧を維持する
タイヤの空気圧に過不足があると、タイヤの摩耗や損傷につながります。これらを防ぐためには、適切な空気圧を保つことが欠かせません。
空気圧が不足した状態では、走行中にタイヤが大きく変形し、地面に押し付けられることで、ショルダー部(タイヤの端)摩耗しやすくなります。反対に、空気圧過多だとタイヤのセンター(真ん中)部分が異常に摩耗してしまいます。
空気圧は走行しなくても自然に減っていくため、最低でも1ヶ月に1回は確認しましょう。

タイヤの空気圧の適正値とは?見方や目安・入れ方
タイヤの適正空気圧の重要性や確認方法、入れ方までわかりやすく解説します。
定期的にタイヤの装着位置を変える
タイヤは、装着位置によって摩耗の仕方に差が出ることがあり、長期にわたって同じ装着位置にすると偏摩耗の原因になります。そのため、5,000kmの走行につき1回を目安に、タイヤの装着位置を変えることがおすすめです。
また、装着位置の交換は、タイヤの異常を発見しやすくなる効果もあります。

タイヤの位置交換(ローテーション)とアライメント
位置交換の考え方やポイント、アライメントと偏摩耗の関係などについてご紹介します。
路面環境に合わせて夏タイヤに変える
スタッドレスタイヤは、乾燥路や湿潤路でも走行が可能です。しかし、冬道での安全性を重視して夏タイヤよりもゴムが柔らかく設計されているため、夏場に使用すると路面で削られやすくなります。
走行路面や季節に応じてタイヤを使い分けることで、寿命を延ばせるでしょう。

スタッドレスタイヤは夏に使うのはNG?理由やよくある質問を紹介
安全性と費用の観点から、スタッドレスタイヤを夏に使用することは推奨されていません。
安全運転を心がける
以下のような運転は、タイヤの摩耗を早める原因となります。
- 急ブレーキ
- 急ハンドル
- ハンドルの据え切り(停車した状態でハンドル操作すること)
安全運転は、事故防止はもちろん、タイヤの寿命を縮めないためにも大切です。
適切な環境に保管する
タイヤの保管の仕方によっては、劣化を早めてしまうこともあります。タイヤの劣化を早めない保管の仕方は次のとおりです。
- 直射日光、雨、水、油類、ストーブなどの熱源、および電気火花の出る装置の近くには置かない
- 空気圧を1/2程度に下げる
- ホイール付きの場合は平置き、ホイールが付いていない場合は横置きにする

スタッドレスタイヤの正しい保管方法は?置き場所や置き方を解説
スタッドレスタイヤの適切な保管方法・保管場所を詳しく紹介します。
定期的な日常点検を行う
タイヤの定期的な点検を行うことで、異常を速やかに見つけられます。日常点検は、安全面でも大切ですが、タイヤの寿命を延ばすことにもつながるのです。
例えば、適正空気圧を維持していれば、空気圧不足による偏摩耗や損傷を防げます。

タイヤの日常点検
空気圧、残り溝、偏摩耗、キズやヒビ割れ、サイド部の膨らみなどタイヤの日常点検ポイントについてご紹介します。
まとめ
スタッドレスタイヤの寿命は、使用開始から5年が点検、製造後10年が交換の目安ですが、タイヤの状態によっても前後します。
プラットホームの出現、コードに達するひび割れやキズ、偏摩耗、ピンチカットといった症状が見られた場合、使用年数を問わずタイヤの交換を行ってください。これらのサインを放置したまま走行を続けると、タイヤの短命化だけでなく、タイヤの損傷や、それを起因とする事故につながる恐れがあります。
このようなリスクを避けるためにも、適正空気圧の維持や定期的なローテーション、適切な保管方法の実践が望ましいです。また、季節に応じた使い分けや安全運転、定期的な日常点検を心がけることで、タイヤの性能を最大限活用できるでしょう。
ご自身でタイヤの点検を行うことに不安のある方は、ブリヂストンの点検のご利用がおすすめです。また、タイヤに最適な保管場所の確保が難しいという場合は、ブリヂストンの保管サービスをご検討ください。

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