タイヤは、クルマの中で唯一路面と接する保安部品です。
その接地面積は、タイヤ1本あたり手のひら1枚ほどしかありません。わずかな接地面積で、「荷重を支える」「走る」「曲がる」「止まる」といったクルマの基本性能を担っているのです。
そして、この基本性能は適正空気圧(自動車メーカーの指定空気圧)が充填されてはじめて充分な性能を発揮します。
空気圧が過不足した状態だと、クルマとタイヤの性能を発揮できないばかりか、タイヤの損傷、さらには事故につながるリスクも高まります。
この記事では、タイヤの空気圧が大切な理由や、空気圧の管理方法などについて詳しく解説します。タイヤを長く、安全に使っていただくために、ぜひ参考にしてください。
タイヤの空気圧の適正値とは
タイヤの空気圧の適正値とは、車種ごとにカーメーカーが指定している車両指定空気圧のことです。
空気圧の適正値はどこで見る?
車両指定空気圧は、運転席側のドア付近、あるいは給油口などに貼付された、空気圧表示シールの記載を見れば分かります。
例えば図のように記載されている場合、前輪・後輪ともに車両適正空気圧は「230kPa(2.3kgf/cm2)」ということになります。車種によって、前輪と後輪で空気圧が異なる場合もあります。
応急用タイヤはパンクなどの緊急時に使うスペアタイヤのことです。応急用タイヤの空気圧も、万が一の際に備えて定期的に点検しておきましょう。

なお、同一車両に装着されるタイヤのサイズが同じであれば、タイヤの銘柄が変わっても車両指定空気圧は同じです。
ただし、同一車両に同じタイヤサイズでも、ロードインデックスが異なる場合は車両指定空気圧が異なりますのでご注意ください。
純正タイヤと異なるサイズの場合は適正空気圧は変わる
前述のとおり、車両指定空気圧は原則として、車両に貼付されたシールに記載された数値を基準にします。ただし、これは純正サイズのタイヤを装着している場合であり、例外もあります。
例えば、タイヤをインチアップして純正とは異なるサイズを装着した場合、ホイール径が大きくなる一方で、タイヤの厚みは薄くなります。純正タイヤ装着時と比べて内部の空気量が少なくなるため、同じ荷重を支えるには、純正サイズよりも高めの空気圧にしなければなりません。

このように、純正とは異なるサイズのタイヤを装着する場合は、車両に記載された空気圧と同等の負荷能力になるように、装着するタイヤサイズに応じた空気圧の設定が必要になることがあります。詳しくはタイヤ専門店にご相談ください。
自然漏れも考慮した調整が必要
タイヤの空気圧が低下する主因は「自然空気漏れ」です。乗用車用タイヤでは、1ヶ月で5%程度※も空気圧が低下するとされています。

このため、知らず知らずのうちに空気圧が不足しているケースも少なくありません。実際、約4台に1台※のクルマが空気圧不足の状態で走行しているという調査結果も出ています。
こうした自然漏れを考慮し、空気圧の管理は「車両指定空気圧」を基準に、0〜+20kPaの範囲内での調整・管理することをおすすめします。
タイヤを適正空気圧に保つ重要性
タイヤを適正空気圧に保つことは、ドライバーの安心・安全を守るために非常に重要です。
タイヤはクルマの部品の中で唯一、路面と接する保安部品です。わずか手のひら1枚分の接地面積で、車両の重さを支え、走る・曲がる・止まるといった基本的なクルマの性能を支えています。しかし、この性能を十分に発揮するには、適正な空気圧が欠かせません。

タイヤの空気圧が過不足した状態で走行を続けると、以下のような影響を引き起こす可能性があります。タイヤの状態や走行環境によってはタイヤの破損に留まらず、事故の原因となることもありますので、空気圧の管理は非常に大切です。
空気圧が不足している場合の影響
- 1.偏摩耗の発生(片減り摩耗、肩落ち摩耗)
- 2.摩耗ライフの低下
- 3.操縦安定性をそこなう
- 4.燃費の低下
- 5.タイヤの損傷(ブリーディングCBUやヒートセパレーションの発生)

空気圧が過多の場合の影響
- 1.偏摩耗の発生(センター摩耗)
- 2.摩耗ライフの低下
- 3.乗心地の悪化
- 4.燃費の低下
- 5.カット、ショックによるコード切れ及びバースト発生の懸念

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タイヤの空気圧の管理の仕方
タイヤの空気圧を適切に管理するために、知っておきたい5つのポイントをご紹介します。
- 1.点検頻度
- 2.空気圧の点検の仕方・入れ方
- 3.空気圧を入れる場所
- 4.空気圧の自然低下に備えたちっそガスの充填
- 5.バルブ・キャップの点検
点検頻度
タイヤの空気圧は、最低でも1ヶ月に1度は適正空気圧かどうかを点検してください。自然空気漏れにより、気づかないうちに空気圧が低下している場合があるため、定期的な確認が大切です。
また、いざという時に備えて、スペアタイヤの空気圧も忘れずに確認しておきましょう。
空気圧の点検の仕方・入れ方
タイヤの空気圧を正しく管理するためには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
【ポイント①】走行前の冷えている時に点検するのが基本
- 長距離走行の直後などのタイヤが温まった状態では、空気圧が高めに表示されることがあるため、点検は走行前の冷えた状態で行うのが基本です。
- 走行途中で空気圧を調整する場合は、車両指定空気圧より20~30kPa高めに調整しましょう。ただし、冷えた状態になったら再調整が必要です。
【ポイント②】エアゲージを使用する
- 特に偏平タイヤの空気圧不足は見た目ではわかりづらいため、必ずエアゲージによる点検をしてください。
入れ方の手順は以下のとおりです。

- 1.車両指定空気圧を確認(純正タイヤと異なるサイズの場合はタイヤ専門店へ相談)
- 2.エアバルブのキャップを外し、エアゲージで測定
- 3.空気圧を調整
- 4.エアバルブのキャップを取り付け
空気を入れられる場所
タイヤに空気を入れる機械は、基本的にガソリンスタンドに設置されています。ご自身での対応に不安がある場合は、スタッフに点検や充填を依頼できる場合もあります。
また、ブリヂストンの直営店および一部のブリヂストンのタイヤ取扱い店では、タイヤの点検を行っています。空気圧だけでなく、偏摩耗やひび割れなどの状態もチェックさせていただきます。お気軽にご利用ください。
空気圧の自然低下に備えたちっそガスの充填
ちっそガスは、空気に比べて、タイヤの内部から外へ抜けにくいのが特徴です。
そのためタイヤの中にちっそガスを入れた方が空気圧の減少が抑えられ、ホイールも錆びにくくなります。
ちっそガスの充填の効果
内圧低下量の減少 | 酸化の減少 |
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バルブ・キャップの点検
バルブやバルブコアは、長期間使用すると、ゴム部分が劣化し、空気もれの原因となります。タイヤ交換の際には、バルブも一緒に交換するのがおすすめです。
- バルブ及びホイールとの組付け部周辺からの空気洩れがないか、必ずチェック
- 新品タイヤには新品バルブを装着
- バルブキャップは必ず装着
まとめ
タイヤの空気圧を適切に管理することは、タイヤとクルマの性能を最大限に引き出し、タイヤの破損を防ぐ、そしてドライバーの安心・安全を守るために非常に重要です。
タイヤはクルマのなかで路面と接する唯一の保安部品です。わずか手のひら1枚分の接地面で大切な生命を乗せているということを理解し、最低でも1ヶ月に1回は空気圧の点検・調整を行いましょう。
点検や調整に不安がある方は、ブリヂストンのタイヤ点検をぜひご利用ください。タイヤのプロがしっかりチェックいたします。