スタッドレスタイヤの燃費はノーマルタイヤと比較して悪いのか
積雪・凍結した路面を走行する際の必需品であるスタッドレスタイヤですが、「夏タイヤと比べて燃費が悪くなる」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際、スタッドレスタイヤは燃費性能において夏タイヤに劣る場合があります。しかし、その理由を正しく理解し、適切な対策を講じれば、燃費の悪化を最小限に抑えることが可能です。
この記事では、スタッドレスタイヤが燃費に与える影響と、その理由、燃費改善のための具体的な方法などについて詳しく解説します。スタッドレスタイヤの燃費悪化を抑えたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
スタッドレスタイヤを履くと燃費が悪くなる理由
スタッドレスタイヤの燃費が夏タイヤよりも悪くなりがちな理由としては、以下が挙げられます
- ゴムが柔らかいため
- 氷雪路におけるグリップ力と燃費の両立が難しいため
それぞれ見ていきましょう。
ゴムが柔らかいため
スタッドレスタイヤを履くと燃費が悪くなる理由のひとつは、ゴムの柔らかさです。
スタッドレスタイヤは氷雪路で滑らないよう、夏タイヤよりも柔らかいゴムを採用することで、路面とタイヤの接地面積を高めています。この柔らかさのおかげで、雪道や凍った路面でも十分なグリップ力を発揮します。

一方で、タイヤの柔らかさは転がり抵抗を増やす要因にもなるため、燃費は落ちる場合が多いです。転がり抵抗とは、タイヤの進行方向と逆向きに働く抵抗力のことです。

例えば、自転車の空気圧が減るとペダルが重くなり、前に進むためにはより大きな力(エネルギー)でペダルを漕がなければなりません。これは、タイヤの転がり抵抗が大きくなったことが原因となります。車も同じで、転がり抵抗が大きいほど、前に進むためのエネルギーが必要です。
タイヤの転がり抵抗に影響を与える要因としては「タイヤ変形」「接地摩擦」「空気抵抗」の3つがあります。そのなかの約9割が、「タイヤの変形」によるものだといわれています。
スタッドレスタイヤは柔らかいゴムで作られているため、この変形が大きく、結果として燃費が落ちてしまいやすくなるのです。
氷雪路におけるグリップ力と燃費の両立が難しいため
グリップ力が重視されています。すると、どうしても転がり抵抗は大きくなるため、燃費性能との両立は難しいのが現状です。
一方、ノーマルタイヤ(夏タイヤ)には、「低燃費タイヤ」と呼ばれる種類があります。低燃費タイヤは、日本自動車タイヤ協会(JATMA)が定める規格に適合したタイヤです。転がり抵抗を減らすことで燃費性能を高めつつ、濡れた路面での安全性も兼ね備えています。

低燃費タイヤとは
低燃費タイヤの条件やグレーディングシステム(等級制度)、ラベリング制度、ラインアップについてご紹介します。
スタッドレスタイヤ以外の燃費が悪くなる理由と対処法
スタッドレスタイヤを装着する冬場には、ほかにも燃費を悪化させる要因がいくつか存在します。これらを対策することで、燃費の向上を図ることが可能です。
具体的な要因としては以下が挙げられます。
- ゴムが柔らかいため
- 気温が低い
- エアコンを使用している
- 空気圧が不足している
- 「急」がつく運転をしている
- より多くの人や荷物が乗っている
- ルーフキャリアなどを屋根に乗せている
それぞれの要因と対策について、詳しく見ていきましょう。
理由①気温が低い
気温が低い冬は、エンジンが適正な温度になるまで時間がかかるため、燃料を多く消費し、燃費が悪化する傾向にあります。一般社団法人日本自動車工業会は、15~20℃のときが最も燃費が良く、気温が低くなるにつれて燃費は悪くなるとしています。
気温による燃費悪化は対処法がないため、冬場は仕方がないこととして受け入れましょう。
※出典元:気になる乗用車の燃費|一般社団法人 日本自動車工業会
理由②エアコンを使用している
車内エアコンはエンジンを動力としているため、エアコンの使用は燃費の悪化につながります。
なお、車内のエアコンは建物に設置するエアコンと違い、設定温度による燃費の差は少ないとされています。そのため、不必要にエアコンをONにしないことがポイントです。
特に、暖房機能はエンジンの排熱によって車内の空気を暖めるため、「A/C」スイッチをONにしなくても車内を温めることができるでしょう。
理由③空気圧が不足している
タイヤの空気圧が不足すると、タイヤのたわみが大きくなり、変形しやすくなります。その結果、転がり抵抗が増し、燃費の悪化を招きます。特に、気温が低い冬は空気圧が低下しやすいので、注意が必要です。
タイヤの空気は、走行しなくても自然に抜けていきます。最低でも月に一度は空気圧をチェックしましょう。

スタッドレスタイヤの空気圧はどれくらい?適正値や調整方法を紹介
スタッドレスタイヤの空気圧は基本的にノーマルタイヤと同じですが、インチアップ時は調整が必要です。
理由④「急」がつく運転をしている
急発進や急加速、急ブレーキ、急ハンドルなど「急」がつく運転は、ドライバーや同乗者の安全性や快適性を損なうだけでなく、燃費にも悪影響を与えます。
余裕を持った運転は、安全だけではなく、燃費改善にもつながります。発進時はゆっくりアクセルを踏む、停止するのが分かっているときは早めにアクセルを離し、エンジンブレーキを活用して減速するなど、日々の運転を丁寧に行いましょう。
理由⑤より多くの人や荷物が乗っている
乗車人数や荷物が増えるほど、クルマの総重量は重くなります。車両が重い状態では、発進や加速の際により大きな力が必要となるため、燃料を多く消費してしまうのです。
一般社団法人日本自動車工業会によると、クルマの重量が10%増えると燃費は約5%悪化するとされています。
燃費を良くするには、不要な荷物を積みっぱなしにしないことが大切です。使わないものはこまめに降ろす習慣をつけましょう。
※出典元:気になる乗用車の燃費|一般社団法人 日本自動車工業会
理由⑥ルーフキャリアなどを屋根に乗せている
ルーフキャリアやルーフボックスなどをクルマの屋根に乗せると、総重量だけでなく空気抵抗も増えるため、燃費は悪くなります。
一般社団法人日本自動車工業会によると、ルーフキャリアなどをクルマの屋根に乗せると数十%も空気抵抗が増加し、空気抵抗が10%増加すると高速道路では約5%燃費が悪化するとしています。
そのため、使わないときはルーフキャリアやルーフボックスを外しておくといいでしょう。そうすることで、余計な空気抵抗を抑え、燃費の改善につながります。
スタッドレスタイヤ選びでは氷雪上性能を最優先に、燃費だけでなく経済性に注目しよう
スタッドレスタイヤ選びで一番大切なのは、安全に直結する氷雪上性能です。氷雪路でしっかり止まり、安心して走れることが大前提になります。
これまで解説したように、スタッドレスタイヤは高い氷雪上性能を確保するために、夏タイヤよりも燃費が悪くなる傾向があります。しかし、それは安全性を最優先した結果です。
もちろん、安全性と同時に、タイヤを長く使うための経済性も気になるところでしょう。そこで、氷雪上性能を大前提としたうえで注目したいのが「ロングライフ性能」と「性能長持ち」です。これらの性能が高いタイヤを選べば、高い安全性を維持したまま長く使えるため、結果的に買い替えの費用を抑えることにつながります。
ロングライフ性能 | 使用限度までの走行距離を長くする性能のことです。寿命によるタイヤ交換の頻度を減らせるため、交換にかかるコストを抑えられます。 |
性能長持ちの良さ | 滑りやすい氷雪路では、タイヤの柔らかさが重要です。 しかしタイヤはゴムでできており、ゴムには柔らかさを実現するためにオイルが配合されています。このオイルは経年とともに徐々に抜けていくため、ゴムは硬くなります。 性能長持ちに優れた製品なら、長期間にわたって柔らかさを維持し、性能低下による早期交換を防げます。 |
スタッドレスタイヤはBLIZZAK

ブリヂストンのBLIZZAKは、日本の冬道を知り尽くしたスタッドレスとして、圧倒的な信頼を得てきました。北海道・北東北主要5都市でのスタッドレスの装着率は24年連続No.1という実績を誇ります。
北海道/北東北主要5都市の一般ドライバー装着率は47.1%、北海道札幌市のタクシー装着率にいたっては79.2%と、2台に1台がBLIZZAKを選んでいます。この実績は高い氷上性能が評価されているだけでなく、ロングライフ性能や性能長持ちにも徹底的にこだわってきた結果です。
なかでも、BLIZZAKシリーズの最新モデル「WZ-1」は、これまで最上位グレードだった「VRX3」の性能を大きく進化させました。
■WZ-1とVRX3の比較

氷雪路性能の性能長持ちについては、「ロングステイブルポリマー」の配合量を増やすことでゴムの柔らかさを維持し、性能低下を抑えています。
※1:2025年1月~ 2月に、札幌市、旭川市、青森市、盛岡市、秋田市の5地区において、二段無作為抽出法により抽出された乗用車(含む軽)を保有している一般世帯2,699人を直接訪問して、乗用車の装着スタッドレス銘柄を調査。ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社が第三者の調査会社に委託して実施。
※2:2025年2月~ 3月に、札幌市においてタクシー営業車1,042台(法人846台、個人196台)を対象に、調査員が直接装着スタッドレス銘柄を調査。同一車のダブルカウントを避ける為、ナンバープレートも確認。ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社が第三者の調査会社に委託して実施。
まとめ
スタッドレスタイヤは、夏タイヤに比べて柔らかいゴムを採用することで、氷雪路でのグリップ力を高めています。反面、柔らかいゴムは転がり抵抗を増やす要因にもなるため、燃費は悪化するケースが多いです。
とはいえ、燃費低下の要因はスタッドレスの装着だけではありません。エアコンの使用や空気圧なども燃費に影響するため、これらの要因を対策することで、燃費の改善を図れます。
また、燃費だけを基準に選ぶのではなく、ロングライフ性能や性能長持ちにも注目してください。これらの性能が優れているタイヤを選ぶと、長く使えて経済的です。
BLIZZAKは24年連続装着率No.1の実績を持ち、高い氷上性能に加えて、ロングライフ性能や性能長持ちにも優れた製品を提供しています。特に、最新モデルのWZ-1は、従来品を上回る性能を実現しており、安全性と経済性を両立したい方におすすめです。

ブリヂストンは4つのタイプの店舗を全国に展開し、
良質な製品とサービスをお届けしています。
