スタッドレスタイヤとは?特徴やほかのタイヤとの違いについて解説
冬の滑りやすい路面を運転する際には、スタッドレスタイヤについて理解したうえで、適切に装着することが必要です。
この記事では、スタッドレスタイヤの基本知識から構造、必要性、他のタイヤとの違いを詳しく解説します。
スタッドレスタイヤとは
スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路で滑らずに安全に走行できるタイヤです。冬用タイヤと呼ばれることもあります。
はじめに、スタッドレスタイヤの名前の由来や、構造の特徴、必要性などについて見ていきましょう。
スタッドレスは「鋲がない」を意味する
かつて冬用タイヤといえば、金属製の鋲(びょう)が打ち込まれた「スパイクタイヤ」が主流でした。 しかし、スパイクタイヤはアスファルトを削って粉塵を発生させるため、健康や環境への悪影響が問題視されるようになり、平成3年に原則として使用が禁止されています。
これを受けて開発されたのが「鋲がないタイヤ=スタッドレスタイヤ」です。 スタッドレスタイヤは、金属の突起物を使わずに、ゴムの性能と溝の構造によって優れた滑り止め効果を発揮します。現在では、環境への配慮と安全性の両立を図った冬用タイヤとして広く普及しています。
構造の特徴
スタッドレスタイヤの構造の特徴として「柔らかいゴム」「太く深いミゾ」「細かな切り込み(サイプ)」の3つがあります。
スタッドレスタイヤの構造の特徴 | 詳細 |
---|---|
柔らかいゴム | 一見平らに見える凍結路も、実際には凹凸があります。 柔らかいゴムを採用することで、タイヤを路面の凹凸に密着させてグリップ力を高めています。 また、低温時でも柔らかさを保てるゴムを使うことで、より路面にタイヤを密着させています。 ![]() |
太く深いミゾ | 雪をしっかりと掴む役割を果たします。 また、掴んだ雪を回転する間に落とし、次の接地時に新たな雪を掴む働きもあります。 ![]() |
細かな切り込み(サイプ) | 気温や日差しなどで溶けた水の膜を除去します。 また、細かく入った切り込みの角で雪や氷を引っ掻き、グリップ力を高めています。 ■「水の膜」のイメージ図 ![]() |

必要性
スタッドレスタイヤの必要性について、「安全」と「法律」の2つの観点から見ていきましょう。
ノーマルタイヤで積雪路や凍結路を走行した場合、滑りやすくなり事故を招く危険があります。一方、スタッドレスタイヤは、雪や氷の上でもしっかりとグリップ力を発揮するよう設計するため、冬場の滑りやすい路面を安全に走るためには欠かせません。
また法的にも、積雪路や凍結路をノーマルタイヤで走行することは違反行為にあたります。各都道府県(沖縄県を除く)の「都道府県道路交通法施行細則」または「道路交通規則」によって積雪路や凍結路を走行する際はスタッドレスタイヤ等の滑り止めの措置が義務付けられています。違反すると罰金が科されるため、装着しなければなりません。
スタッドレスタイヤとほかのタイヤの違い
ここでは、スタッドレスタイヤを、ノーマルタイヤ(夏タイヤ)やオールシーズンタイヤと比較してみましょう。タイヤの種類による性能差を理解することで、走行環境や季節に応じたタイヤ選びができるようになります。
夏タイヤ(ノーマルタイヤ)との違い
夏タイヤ(ノーマルタイヤ)とスタッドレスタイヤを比較すると、以下のような違いがあります。

特徴を比較 | 夏タイヤ (ノーマルタイヤ) |
スタッドレスタイヤ |
---|---|---|
ゴムの硬さ | 硬い | 柔らかい |
ショルダー部の溝の深さ | 細かく浅い | 大きく深い |
切り込み(サイプ) | 太く本数が少ない | 細かく本数が多い |
適応路面 | 乾燥路や湿潤路 | 凍結路や積雪路 |


スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの性能の違いとは
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの性能・特徴の違いや、適切な使い方を画像とともに紹介します。
オールシーズンタイヤとの違い
オールシーズンタイヤとは、夏タイヤの性能に加え、ある程度の積雪路面でも走行できる性能をもつタイヤです。
ただし、スタッドレスタイヤと違って冬の環境に特化しているわけではないので、凍結路はスタッドレスタイヤに比べて滑りやすいです。
オールシーズンタイヤは便利ですが、本格的な雪道や凍結路を走行する場合、スタッドレスタイヤのほうが安全性において優れています。

スタッドレスタイヤの代わりにオールシーズンタイヤを使える?
凍結路での性能差をはじめ、それぞれのタイヤの特徴と違いをご紹介します。
スタッドレスタイヤに関して知っておきたい6つのこと
スタッドレスタイヤを安全かつ効果的に使用するために、以下の6つのポイントを押さえておきましょう。
- 1.チェーン規制時はチェーンの装着も必要
- 2.スタッドレスタイヤであっても過信は禁物
- 3.車や走行環境に応じて選ぶ
- 4.新品タイヤ装着時は慣らし走行が必要
- 5.交換目安はスノープラットホームの露出
- 6.エリアによって最適な履き替えのタイミングが異なる
順番に解説します。
【1】チェーン規制時はチェーンの装着も必要
チェーン規制とは、大雪特別警報や異例の降雪があるときに実施される規制です。チェーン規制がかかると、スタッドレスタイヤを装着していてもチェーンをしなければ通行できません。規制区間の手前で、チェーン装着状況の確認が行われます。
スタッドレスタイヤは積雪路や凍結路での走行を考えて設計されたタイヤですが、路面状況や降雪量によっては立ち往生となってしまう場合もあります。そのため、常にチェーンを積んでおくと安心です。
【2】スタッドレスタイヤであっても過信は禁物
スタッドレスタイヤを履いているからといって「絶対に安全」と思い込むのは危険です。
スタッドレスタイヤは積雪路や凍結路での走行性能を高めたタイヤですが、積雪路や凍結路はもともと滑りやすい路面であるということを忘れてはいけません。
特に、急発進・急加速・急カーブ・急停止といった急な操作はスリップを招く原因になります。スタッドレスタイヤの性能を過信せず、常に慎重な運転を心がけましょう。
【3】車や走行環境に応じて選ぶ
スタッドレスタイヤにも種類があり、車種や走行環境によって適したものは異なります。適切なスタッドレスタイヤを選ぶことで、不安定な冬の路面でも安全に運転できます。
選ぶ際には、「ボディタイプ」「タイヤサイズ」「使用環境・性能」の順に確認するのがおすすめです。
ボディタイプ | セダン、スポーツ、ミニバンといった車の形状による分類 |
タイヤサイズ | 新車時に装着されているタイヤのサイズ |
使用環境・性能 | 走行する地域の特徴やシチュエーション |

具体的なスタッドレスタイヤの選び方は以下の記事で解説しています。

スタッドレスタイヤの選び方
ボディタイプやタイヤサイズ、使用環境に応じたスタッドレスタイヤの選び方をご紹介します。
【4】新品タイヤ装着時は慣らし走行が必要
新品のスタッドレスタイヤは、タイヤ本来の性能を引き出すため、慣らし走行をおすすめします。慣らし走行によって表皮がとれ、本来のグリップ力を発揮するようになります。
また、夏タイヤから履き替えた直後は、走行時の感覚が変わるため、運転者自身がその違いに慣れるという点でも、慣らし走行は有効です。スタッドレスタイヤの慣らし走行は、60km/h以下の速度で200km以上の距離を走行することをおすすめします。
【5】交換目安はスノープラットホームの露出
夏タイヤもスタッドレスタイヤも、どちらも法律上の使用限度は同じで、残り溝の深さが1.6mmを下回ると使用できなくなります。
一方、スタッドレスタイヤは、新品時から50%摩耗した段階で、積雪路や凍結路でのグリップ性能が大きく低下します。たとえ見た目にはまだ溝が残っていても、冬用タイヤとしての性能は大きく損なわれるため注意が必要です。
ブリヂストンではスノープラットホームの露出を交換のひとつの目安とすることを推奨しています。

スタッドレスタイヤの寿命は何年?年数の目安と交換タイミングの見分け方
タイヤの交換タイミングや寿命を無視して使い続けるリスクを詳しく解説します。
【6】エリアによって最適な履き替えのタイミングが異なる
夏タイヤ(ノーマルタイヤ)からスタッドレスに履き替えるタイミングは、慣らし走行やシーズン中の店舗の混雑などを想定して、初雪予想の1ヶ月前をおすすめします。
お住まいの地域やお出かけ先によって履き替えのタイミングが異なるため、地域の気候条件を考慮した適切な時期を選ぶことが大切です。
以下の記事を参考に、履き替えの目安をチェックしてください。

スタッドレスタイヤはいつから履き替える?目安となる履き替え時期も紹介
初雪予想の1ヵ月前や最低気温が3℃以下になる時期を目安に、早めの交換を推奨します。

スタッドレスタイヤはいつまでに外す?ノーマルタイヤに履き替えるタイミングを解説
スタッドレスタイヤを外す時期の判断基準やチェックポイントを紹介します。
まとめ
スタッドレスタイヤは、雪道や凍結路での安全運転を実現するために開発されたタイヤで、冬用タイヤとも呼ばれます。
かつてのスパイクタイヤに代わって登場したスタッドレスタイヤは、柔らかいゴムと独特の溝構造により、環境に配慮しながら優れたグリップ力を発揮します。
利用の際には、夏タイヤやオールシーズンタイヤとの違いを理解し、走行環境に応じた適切な選択をすることが重要です。さらに、新品時の慣らし走行、チェーン規制への対応、適切な履き替えタイミングなど、実用的な知識も安全運転のためには欠かせません。
また、スタッドレスタイヤは夏タイヤよりも早い段階で寿命が訪れるため、定期的な点検と適切な時期での交換が必要です。
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