スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの性能の違いとは
雪が降る地域に引っ越したばかりの方で、初めてスタッドレスタイヤを使用する方のなかには、ノーマルタイヤとの違いを知りたい方も多いでしょう。両者の違いを理解して、適切に使い分けることは、安全運転やタイヤの寿命を伸ばすうえで重要です。
本記事では、スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの性能の違いや特徴、適切な使用方法を詳しく解説します。タイヤ選びに関する疑問にも回答するので、最後までご参照ください。
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの性能の違い
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤは、それぞれ異なる路面状況で力を発揮します。ここでは、両者の性能の違いについて説明します。
スタッドレスタイヤは凍結路や積雪路で力を発揮
スタッドレスタイヤは、凍結した路面や雪が積もった路面での走行性能を重視して設計されています。特殊な素材と設計により、これらの厳しい冬の路面条件下でも高いグリップ力を発揮します。
一方、ノーマルタイヤは、凍結路や積雪路では十分なグリップ力を得ることが難しいです。そのため、雪が降る地域はもちろんのこと、冬道に不慣れな雪のあまり降らない地域の方も、冬季にスタッドレスタイヤへ交換しましょう。
ノーマルタイヤは乾燥路や湿潤路で力を発揮
ノーマルタイヤは、スタッドレスタイヤとは対照的に、乾燥した路面や濡れた路面での走行に適しています。これらの条件下では、優れたグリップ力と制動性能を発揮します。しかし、凍結した路面や雪が積もった路面を走行する想定で設計されていないため、これらの路面では滑りやすいです。
一方、スタッドレスタイヤも乾燥路や湿潤路を走行できるように設計されていますが、ノーマルタイヤと比べると性能は及びません。特に、制動距離(ブレーキが効き始めてから車が停止するまでに走行する距離)が長くなりやすい傾向があるので気を付けましょう。
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤは、使用環境に合わせて、適切に履き替えることが大切です。
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スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違い
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤは、単に性能面だけでなく、構造や材質にも大きな違いがあります。 両者の主な違いは、以下の3つです。
- 硬さ
- ミゾ
- 切り込み(サイプ)
これらの観点から、スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違いを詳しく見ていきましょう。
硬さ
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの大きな違いの一つが、使用されている「ゴムの硬さ」です。
スタッドレスタイヤは、凍結した路面にしっかりと密着してグリップさせるため、ノーマルタイヤよりも柔らかいゴムで作られています。
凍結した路面は、一見平らに映りますが、実際には微細な凹凸があります。スタッドレスタイヤの柔らかいゴムは、この凹凸に対してより柔軟な対応が可能です。路面にしっかり密着できるため、優れたグリップ力を発揮し、滑りにくくなります。
ミゾ
スタッドレスタイヤのほうが、ノーマルタイヤよりもミゾが太くて深いです。
これは、路面に積もった柔らかな雪を踏み固め、前に進む力を得るためです。ミゾが大きいほど前進する力が大きくなりますが、路面との接地面積が減少するとグリップ力が弱まってしまいます。
このため、スタッドレスタイヤは、ミゾの太さや本数、方向といった形状パターンのシミュレーションを繰り返して開発されています。
切り込み(サイプ)
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤは、「サイプ」と呼ばれる切り込みにも違いがあります。サイプとは、以下のようなタイヤ表面に施された、ギザギザとした細かな切り込みのことです。
スタッドレスタイヤは、ノーマルタイヤよりもサイプの本数が多いです。サイプはタイヤを路面に均一に接地させる働きがあるため、凍結路面や雪道でも、しっかりとしたグリップ力を得られます。 加えて、サイプの角が氷を引っかくことで、さらにグリップ力を高めることが可能です。
また、溝から逃がすことで、タイヤ全体の排水性能を高めています。 これは、雪解け時や雨の日にも安全に走行するうえで、非常に重要な機能です。
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤは他にもこんな部分が違う
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違いは、性能や構造だけにとどまりません。 両者は、使用限界を示すサインにも違いがあります。
使用限界を示すサイン | 詳細 | サインのあるタイヤ |
---|---|---|
スリップサイン | ミゾの深さが残り1.6mmになると、タイヤ表面に「スリップサイン」と呼ばれるマークが出現します。 このマークが出ると、整備不良により使用できません。道路交通法で装着・使用が禁止されているため、速やかに交換する必要があります。 |
・スタッドレスタイヤ ・ノーマルタイヤ ※タイヤの種類は問わず、サインが入っています |
プラットホーム | 新品時から50%の摩耗を知らせる「プラットホーム」と呼ばれる突起が、タイヤ表面に出現します。 突起の高さが表面に近づいたら交換の目安です。 |
・スタッドレスタイヤのみ |
スタッドレスタイヤには、「スリップサイン」と「プラットホーム」の2つのサインがありますが、ノーマルタイヤには「スリップサイン」のみです。溝の深さが新品の50%に減り、プラットホームが露出すると、スタッドレスタイヤは冬用タイヤとしての使用限界を迎えます。ただし、スリップサインが露出するまでは夏タイヤとしての使用は可能です。
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スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違いに関する疑問
ここまで、スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違いについて詳しく解説してきました。
そのなかで、雪の降らない地域でのタイヤ選びや、オールシーズンタイヤの活用に疑問を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以下では、これらの疑問に対して、理由も交えて回答します。
雪の降らない地域はどちらのタイヤを選べばいいの?
結論からいえば、雪が降らない地域でも、路面が凍結する可能性がある場合は、スタッドレスタイヤの装着をおすすめします。
たとえ雪が降らなくても、最低気温が3℃以下になると路面温度は氷点下を下回り、路面が凍結することがあります。 凍結した路面は非常に滑りやすく、ノーマルタイヤでの走行は危険です。
お住まいの地域における冬季の気温を確認し、3℃以下になる日が多い場合は、スタッドレスタイヤを使用するのが望ましいでしょう。
オールシーズンタイヤであれば両方の機能を満たせる?
「オールシーズン」という名称から、季節や天候を問わず使用できるタイヤだと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、オールシーズンタイヤは一般的には、スタッドレスタイヤの代わりにはなりません。突然の積雪にも対応できるよう設計されていますが、スタッドレスタイヤと同等の性能を持つわけではない点に注意しましょう。
また、一般的なオールシーズンタイヤは、凍結路面ではノーマルタイヤと同様に滑りやすい特性を持っています。 したがって、お住まいの地域の気候に合わせて、スタッドレスタイヤを選択してください。
まとめ
スタッドレスタイヤは凍結路や積雪路で優れた性能を発揮し、ノーマルタイヤは乾燥路や湿潤路で力を発揮します。 この違いは、タイヤの硬さ、ミゾの設計、サイプ(切り込み)の本数などの差異によるものです。
雪が降らない地域でも、路面が凍結する可能性がある場合は、スタッドレスタイヤの装着をおすすめします。 最低気温が3℃以下になると路面凍結の危険性が高まるため、安全性を重視するなら、スタッドレスタイヤを選択するのが賢明です。
また、オールシーズンタイヤは一年中履けると勘違いされがちですが、一般的なオールシーズンタイヤは凍結路では滑りやすく、本格的な冬道走行には適していません。 そのため、凍結路を走行する可能性が高い場合は、スタッドレスタイヤを使用しましょう。
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