乗用車用タイヤの選び方
乗用車用タイヤを選ぶには、自分の車のボディタイプ・タイヤサイズの確認や、タイヤに求める性能の検討が重要です。この記事では、乗用車用タイヤの選び方を詳しく解説します。

タイヤは、路面との手のひらほどのわずかな接地面積で「荷重を支える」「走る」「曲がる」「止まる」といった車の基本性能を担っています。どのタイヤを選ぶかにより、安全性や走行性能は大きく変わるため、愛車に合ったタイヤ選定が肝心です。

しかし、タイヤには数多くの種類があり、それぞれ異なる特性を持っているため、どれにすべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。この記事では、タイヤ交換を控えている方に向けて、乗用車用タイヤの選び方について詳しく解説していきます。

乗用車用タイヤの選び方

タイヤを選ぶ際は、以下のステップで選ぶと愛車や走行環境に適したタイヤが見つかりやすくなります。

  1. ボディタイプを確認する
  2. タイヤサイズを確認する
  3. タイヤに求める性能を考える

各ステップについて詳しく解説します。

【1】ボディタイプを確認する

はじめに、自分の車の「ボディタイプ」を確認しましょう。

ボディタイプとは、SUVやミニバンといった、車の形状による分類です。車体の大きさや重さによってタイヤへの負担や走行特性が変わるため、各ボディタイプに合わせた専用タイヤが用意されています。

「SUV用タイヤ」「ミニバン用タイヤ」「軽自動車用タイヤ」を例に、ボディタイプごとの特性と、その特性に応じたタイヤの性能について以下にまとめました。

SUV用タイヤ 以下の特性をふまえ、直進安定性と耐偏摩耗性能を重視したタイヤ
<SUVの走行特性>
普通自動車に比べて車高・重心が高く、また重量があるため、カーブや高速道路でふらつきやすい、ノイズが発生しやすい、センター部分が偏摩耗しやすい。
ミニバン用タイヤ 以下の特性をふまえ、静粛性、直進安定性、低燃費性、耐偏摩耗性を重視したタイヤ
<ミニバンの走行特性>
車高や重心が高いため、普通自動車に比べてふらつきやすく、コーナリングやブレーキング時には強い力がタイヤにかかり、偏摩耗が起こりやすい。また車体が大きく、たくさんの荷物や6~8人という乗車定員をのせられるため、タイヤへの負荷が大きく、ノイズが大きくなりやすい。
軽自動車用タイヤ 以下の特性をふまえ、耐偏摩耗性と静粛性を重視したタイヤ
<軽自動車の走行特性>
普通自動車に比べてタイヤが小さく、その分タイヤの回転数が多くなるため、摩耗しやすい。また、小回りがきくため、据え切りによる偏摩耗が発生しやすく、走行時のノイズや振動が目立つ。
スクロール

※それぞれの車種の専用タイヤというわけではありません。主にそのタイヤサイズが使用される車種で区分しています。そのため、サイズが合えばSUV・ミニバン・軽自動車以外の車で使用することはできますが、車種に合わせたタイヤをおすすめします。

【2】タイヤサイズを確認する

車に適さないサイズのタイヤを装着すると、タイヤの損傷や、それに伴う事故を招く恐れがあります。車メーカーが指定する純正タイヤのサイズを基準に選びましょう。純正タイヤは、車体や乗員・荷物の重量などを考慮し、安全かつ快適に走行できるサイズが設定されています。

タイヤサイズは、タイヤの側面(サイドウォール)に「215/45R18 93W」や「235/45ZR17」のように数字とアルファベットで表示されています。

タイヤによって表示の仕方はさまざまですが、それぞれ以下のような意味を持っています。

タイヤサイズの見方

車に装着されているタイヤの表記と照らし合わせてみてください。
タイヤサイズの見方や意味については、以下の記事で詳しく解説しています。

【3】タイヤに求める性能を考える

一口でタイヤと言っても、燃費性能に優れたもの、静粛性を高めたもの、雨の日のグリップに強いもの、オフロード走行に適したものなど、商品によって性能はさまざまです。

自分が車を運転する際に何を重視するのかを考え、最適なタイヤを選ぶことが安全で快適なドライブにつながります。ここでは、9つのタイヤ性能について詳しく紹介します。

ライフ性能

ライフ性能とは、使用限度までの走行距離を長くする性能です。ライフ性能に優れたタイヤは、摩耗を抑える技術により、長期間にわたり安定した走行を実現できます。結果として交換回数が減り、経済的メリットや環境負荷の低減が期待できるでしょう。

ブリヂストンのECOPIA(エコピア)は、独自のロングライフ技術によって偏摩耗を抑え、タイヤ全体が均一に摩耗することで長く安定した性能を維持します。これにより、交換頻度を減らし、経済的なメリットをもたらすだけでなく、日々のドライブを安心して楽しめます。

ドライ・ウェット性能

ドライ性能やウェット性能とは、乾いた路面(ドライ)や濡れた路面(ウェット)で車を安全に止めて、スムーズに曲がることができる性能です。特に、雨の日は路面が滑りやすくなり、スリップの発生や制動距離(ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離)の増大が起こりやすくなるため、この性能が安全性に大きく影響します。

また、雨天時の高速走行は、タイヤが滑ってハンドルやブレーキ操作が効かなくなるハイドロプレーニング現象が発生しやすいです。そのため、高速道路を日常的に使用する方は、ウェット性能を重視して選ぶとよいでしょう。

ブリヂストンの「Playz」は、ウェット性能にこだわり、雨の日の走行を安全かつ快適にサポートします。タイヤは溝が浅くなることで排水性能が低下するため、Playzは溝に頼らないウェット性能の強化を図りました。「接地形状の最適化」と「シリカを配合したウェット重視ゴム」を採用し、新品時から摩耗時まで高い排水性を維持できる設計となっています。

低燃費性能

低燃費性能は、タイヤの転がり抵抗を低くし、タイヤを転がりやすくすることで車の燃料消費を抑える性能です。転がり抵抗が低いと、車を動かすのに必要な力が少なくなるため、アクセルを踏む量が減り、結果として燃費が向上します。

しかし、転がり抵抗が低くなると路面との摩擦が減るため、グリップ力が低下する傾向にある点には注意が必要です。この相反する性能のバランスが、タイヤ設計における重要な課題となっています。

そのため、雨天時に高速道路を運転する機会が多い方や、雨天時の運転に不安を感じる方は、燃費性能だけでなくウェット性能も考慮して選びましょう。

JATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)のグレーディングシステムにおいて、一定以上の低燃費性能と安全性を満たしたタイヤを「低燃費タイヤ」と言い、ラベリング制度によりタイヤごとの低燃費性能とウェット性能が一目でわかるようになっています。低燃費性能に加え、ウェット性能を重視する場合は、タイヤ選びの際にこのラベリングをチェックしてみてください。

ラベリング制度

なお、転がり抵抗性能が「AAA」「AA」「A」、ウェットグリップ性能がd以上のものを低燃費タイヤといいます。

ブリヂストンのプレミアムタイヤ「REGNO GR-XⅢ」は、一部サイズで転がり抵抗性能「AA」と、最高グレードのウェットグリップ性能「a」を獲得しています。(獲得とは、グレーディング用試験データをタイヤ公正取引協議会に申請し受理されたことを指します。)

静粛性

静粛性とは、タイヤが路面に接することで生じる走行音を抑える性能です。音楽やラジオ、同乗者との会話を楽しみたい方にとっては見逃せない要素といえるでしょう。

タイヤと路面の摩擦によって発生する音は、主に「ロードノイズ」と「パタンノイズ」の2種類です。

ロードノイズとは タイヤが路面と接地する際に発生する振動がタイヤ側面を通じて車内に伝わる「ゴー」「ガー」といった低周波音
パタンノイズとは タイヤのトレッドパタンにより発生する「ヒュー」や「シャー」といった高周波音

静粛性に優れたタイヤは、トレッドパターンの構造やゴムの素材を工夫しています。これにより、騒音を抑えたり、不快な周波数にならないよう設計したりして、車内を静かで快適な空間に保つことが可能です。

ブリヂストンの「REGNO」は、20年以上に渡り心地よいタイヤの音作りを追求した技術を駆使し、ロードノイズとパタンノイズの両方を低減します。どの席に座っても静かな車内空間を提供し、プロドライバーからも高く評価されています。

直進安定性

直進安定性とは、横風や路面の歪み・凸凹といった影響を受けても、車のふらつきを抑え、安定してまっすぐ走ろうとする性能です。この性能が高いと、ドライバーが無意識に行っている細かなハンドル操作が減り、疲労軽減につながります。

特に、車高の高いミニバンやSUVは風の影響を受けやすく、車体がふらつきやすいです。これらの車種に乗っている方は、タイヤ選びで直進安定性を重視するとよいでしょう。

ブリヂストンの「REGNO」は、ケースラインの最適化と、シミュレーション・計測・可視化技術を用いた接地形状の最適化により、走行中の揺れを抑え、快適かつ高い操縦安定性を実現しています。

乗り心地

乗り心地とは、路面からの衝撃や振動をタイヤが吸収し、車に伝わりにくくする性能です。路面の凹凸や段差を通過する際に車体が受ける衝撃を和らげることで、長時間の運転でも疲れにくく、同乗者も快適に過ごせるでしょう。

タイヤの構造や使用するゴムの特性によって、路面からの衝撃吸収性能は大きく変わります。ブリヂストンの「REGNO」は、設置形状を最適化した構造と、振動を吸収するゴムの採用により、突起乗り越しのショックを低減します。

運動性能

運動性能とは、路面をしっかりと掴み、コーナリングや急ブレーキ時にも高いグリップ力を発揮する性能です。この性能が高いタイヤは、急発進・急加速、コーナリングなどの運動性能に優れています。スポーティーな走りを楽しみたいドライバーにおすすめのタイヤです。

運動性能に優れたタイヤは一般的に「スポーツタイヤ」と呼ばれますが、スポーツカー専用というわけではなく、さまざまな車種に対応しています。しかし、路面の凸凹による振動やロードノイズが大きい、乗り心地や燃費性能に劣る、摩耗しやすいといった注意点もあります。

ブリヂストンの「POTENZA(ポテンザ)」は、モータースポーツ活動で培われた最先端の技術を投入して開発された、ブランドを代表するスポーツタイヤです。その高いグリップ性能とハンドリング性能は、サーキット走行を楽しむ方はもちろん、日常の運転でスポーティーな走りを求めるドライバーからも支持されています。

冬道の走行性能

積雪路や凍結路を走行する方にとって欠かせないのが、冬道の走行性能です。乾燥路と比べて、積雪路は前に進む力が必要で、凍結路はツルツルと滑りやすい特性があります。

こうした環境に対応するために設計されたスタッドレスタイヤは、「柔らかいゴム」「太く深いミゾ」「細かな切り込み(サイプ)」の特殊な素材と構造を持っています。これにより、厳しい冬の路面条件下でも高い駆動力や制動力、旋回力、グリップ力を発揮できるのです。

ただし、一口にスタッドレスタイヤといっても、走行する地域や路面状況によって必要な性能は異なります。

■使用環境ごとに重視すべきスタッドレスタイヤの性能

使用環境・シチュエーション とくに重視すべき性能
凍結路面を走る機会が多い方 氷上性能、性能持続性(効き持ち)
積雪量の多い圧雪路面で走ることが多い方 雪上性能、性能持続性(効き持ち)
雪道を走行する機会は年に数回で、乾いた路面を走る機会も多い方 トータルバランス(氷上・雪上性能、性能持続性に加え、乾燥路での静粛性など)
スクロール

ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「BLIZZAK」は、走行環境などに応じて3つのラインナップからお選びいただけます。

なかでも、「BLIZZAK WZ-1」は、BLIZZAK史上最高性能を誇るモデルです。日本の冬道で想定される、アイス、スノー、シャーベット、ウェット、ドライのあらゆる路面状況に対して高水準に対応するため、さまざまなシーンで安心してドライブを楽しめます。

オフロードの走行性能

山道や泥道、砂利道などのオフロードを走行する機会が多い方にとって重要なのが、オフロードの走行性能です。オフロード性能に優れたタイヤは、ぬかるんだ道や凸凹した道でもしっかりと駆動力を発揮し、ハンドリング性を高めて安定した走行を可能にします。

オフロードタイヤには以下の4つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。車種や用途、好みに合わせて選びましょう。

オールテレーン(A/T) あらゆる地形に対応できるタイヤ
マッドテレーン(M/T) オフロードでの走行性能をより高めたタイヤ
ハイウェイテレーン(H/T) オールテレーン(A/T)のオンロードでの走行性能をより高めたタイヤ
ラギッドテレーン(R/T) オールテレーン(A/T)とマッドテレーン(M/T)の中間に位置するタイヤ

ブリヂストンの「DUELER」は、普段使いの快適な乗り心地と、悪路での力強い走破性の両立を目指したタイヤです。そのため、舗装された道を中心に乗る方から、本格的なオフロードを楽しむ方まで、幅広いニーズに対応するラインナップが揃っています。

まとめ

タイヤ選びは車の安全性や走行性能に直結する重要な要素です。まずは現在使っている車のボディタイプとタイヤサイズを確認しましょう。そのうえで走行する地域の天候や路面の状態、運転者や同乗者が重視する性能を基準に考えていきます。

しかし、タイヤの種類は非常に多く、どのタイヤを選ぶべきか迷ってしまう人は少なくありません。そんなときは、タイヤのプロに相談することをおすすめします。タイヤのプロに相談すれば、お客様のカーライフの情報をもとに、最適なタイヤを提案してくれるでしょう。

ブリヂストンでは、オンライン相談または店舗にて、経験豊富なスタッフが、お客様一人ひとりのご要望に応じたタイヤ選びをサポートしています。オンラインストアでは、「車種」「サイズ」「ブランド」の3つの検索方法を用意しており、お客様に適したタイヤを簡単に探すことができます。

ちなみに、今回ご紹介したタイヤ性能のうち、どの性能を重視するかでタイヤ選びの参考になれば幸いです。

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