ノーマルタイヤで雪道を走行するとどうなる?法令違反や危険性について
ノーマルタイヤでの雪道走行は法令違反であり、重大な事故を招く危険があります。この記事では、ノーマルタイヤで雪道を走行するリスクを解説し、安全に冬道を走るためのポイントをご紹介します。

普段雪の降らない地域にお住まいの方でも、旅行や引越しなどで雪道を走行する機会があるかもしれません。その際、ノーマルタイヤのまま雪道を走行しても大丈夫なのか疑問に思う方も多いでしょう。

しかし、ノーマルタイヤでの雪道走行は法令違反であり、事故につながる非常に危険な行為です。

本記事では、ノーマルタイヤで雪道を走行することの法的問題や危険性、安全に冬道を走行するためのタイヤの選び方、運転のポイントなどについて詳しく解説します。

ノーマルタイヤでの雪道の走行は法令違反

積雪や凍結により滑りやすくなっている道路では、「都道府県道路交通法施行細則」または「道路交通規則」によって、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどの滑り止めの措置をすることが義務付けられています。

2025年8月時点、違反した場合は罰則の対象になり、車両の種類によって以下の罰金が科せられます。

車両の種類 罰金額
大型車 7,000円
普通車 6,000円
自動二輪車 6,000円
原付車 5,000円

出典元:冬道走行とタイヤ | タイヤとユーザー| 一般社団法人 日本自動車タイヤ協会 JATMA

ノーマルタイヤで雪道を走行するリスク

ノーマルタイヤで雪道を走行すると、以下のようなリスクがあります。

  • 制動距離が長く止まりにくい
  • スリップの危険性が高まる

それぞれ見ていきましょう。

制動距離が長くなり止まりにくい

制動距離とは、ブレーキが効き始めてから車が完全に停止するまでの距離のことで、この距離が長いほど追突などの事故のリスクが飛躍的に高まります。

JAFが実施したテストによると、時速40km/hで走行して急ブレーキをかけた場合の制動距離は、ノーマルタイヤが29.9m、スタッドレスタイヤが17.3mでした。この差は実に12.6mにも及び、1.5倍以上制動距離が長くなることを意味します。

制動距離とは?

出典元:走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ(JAFユーザーテスト)

スリップの危険性が高まる

ノーマルタイヤは、乾燥路(乾いた路面)や湿潤路(濡れた路面)の走行を見据えて設計されているため、雪道や凍結路での走行は想定されていません。そのため、ノーマルタイヤは雪道では極めて滑りやすくなります。タイヤのゴム質や溝のパターンが雪道には適していないため、路面との摩擦が大幅に低下してしまうのです。

実際にJAFがカーブに沿って曲がったときの車の挙動をテストしたところ、ノーマルタイヤはスタッドレスタイヤと比べて普通自動車3台分ほど大きく外側に膨らんでしまいました。これは実際の道路では非常に危険な状況で、ノーマルタイヤではカーブを曲がり切れずに対向車線にはみ出してしまったり、ガードレールに衝突したりする危険性が高くなります。

※出典元:雪道での旋回テスト(JAFユーザーテスト)

雪道を安全に走行するためのタイヤ選びの注意点

雪道での安全に走行するためには、適切なタイヤ選びが重要な要素となります。
ここでは、雪道でのタイヤ選びにおける主な注意点について見ていきましょう。

雪が降っていなくてもノーマルタイヤでは危険な場合がある

最低気温が3℃以下になると、路面の温度は氷点下を下回り、日中に溶けた雪や路面に残った雨水が凍結することがあります。このような状況では、ノーマルタイヤでの走行は極めて危険です。

特に注意が必要なのが「ブラックアイスバーン」と呼ばれる路面です。これは表面に薄い氷が張っているにもかかわらず、濡れた路面にそっくりに見える非常に危険な路面状況を指します。

オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤの代わりにはならない

オールシーズンタイヤは1年を通して使えるタイヤだと思われがちですが、凍結した道路においては夏タイヤと同様に滑りやすい特性を持っています。

オールシーズンタイヤは突然の積雪にも対応できるよう設計されているものの、スタッドレスタイヤと同等の氷上性能を持つわけではありません。そのため、本格的な雪道や凍結路の走行にはスタッドレスタイヤの使用が推奨されます。

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ブリヂストンが製造・販売する「ブリザック」は、30年を超える歴史を持ち、冬道を走る多くのドライバーの安心安全を支えてきたスタッドレスタイヤです。

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※2025年2月~3月に全国一般ドライバー23,333人を対象としたインターネット調査を実施

なかでも最新モデル「BLIZZAK WZ-1」は、従来品「BLIZZAK VRX3」と比較して、氷上ブレーキ性能が11%向上し、氷上旋回のラップタイムが4%短縮されるという優れた性能を実現しています。

正しいタイヤ選びと一緒に知っておきたい!雪道を安全に走行するポイント

雪道を安全走行するためには、タイヤ選びだけでなく、以下のポイントも押さえて運転することが重要です。

  • 万が一に備えたグッズを用意しておく
  • 余裕を持ったスケジュールを立てる
  • 雪の情報や走行ルートについて事前に調べておく
  • 運転前に屋根に積もった雪を降ろす
  • 車間距離を十分に取る
  • 「急」のつく運転をしない
  • カーブに入る前は減速する

一つずつ解説します。

万が一に備えたグッズを用意しておく

雪道を走行する予定があるときは、万が一のトラブルに備えて、以下のグッズを準備しておくと安心です。

タイヤチェーン 大雪時に実施される「チェーン規制」への備え
(チェーン規制時はスタッドレスタイヤに加えてチェーンの装着が必須)
ジャッキ チェーンの装着に必要
ブースターケーブル バッテリー上がりへの備え
スコップ 駐車場に積もった雪や、スリップしたときの除雪作業に便利
軍手・長靴 チェーンの着脱や雪かき作業に便利
懐中電灯 夜間のトラブル発生時に便利
解氷スプレー・スクレーバー 窓の霜落とし、鍵穴の凍結に役立つ
砂・毛布 タイヤが空転したときの滑り止めとして役立つ
けん引ロープ 発進できなくなったときの脱出に役立つ
ロードサービスの連絡先・会員証 自分では対処できないときに役立つ
スクロール

余裕を持ったスケジュールを立てる

天気予報を事前に確認し、気温の低下や悪天候が予想されるときは、スケジュールに十分な余裕を持って出かけましょう。

雪道では、通常よりもスピードを落とした慎重な走行が鉄則となるため、移動時間が長くかかる可能性があります。また、交通渋滞が発生する可能性も高いため、スケジュールにゆとりがないと焦って危険な運転をしてしまう恐れがあります。路面の状況によっては、通行止めによる迂回が必要になるケースも考えられるため、時間的余裕は必須です。

雪の情報や走行ルートについて事前に調べておく

雪が降る可能性がある場所へ行く際は、天気予報やライブカメラなどで雪や道路の状況を事前に調べておくことで、危険な場所や時間帯を避けることができます。

また、走行ルートは幹線道路を中心に計画しておくと良いでしょう。積雪状況によっては車線規制によって1車線しか走行できなかったり、細い道では雪が深く立ち往生することもあるためです。

運転前に屋根に積もった雪を降ろす

車の屋根に雪が積もったまま走行すると、発進時やブレーキをかけた際にその雪が滑り落ち、フロントガラスを覆って視界を完全にふさぐ危険があります。

また、ヘッドライトやブレーキランプ、ウインカーなどの意思表示灯に雪がかぶったままだと、周囲の車に自分の動きを正確に伝えられなくなり、事故の原因となります。

出発前には車全体を念入りに確認し、屋根をはじめ、ガラス面やライト類、バンパー周辺などに積もった雪をすべて丁寧に落としておきましょう。

車間距離を十分にとる

雪道や凍結した路面では、タイヤが滑りやすくなるため、通常の路面よりも制動距離(ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離)が大幅に長くなります。そのため、車間距離が不十分だと、前車が急停止した際に止まり切れずに追突事故を起こす恐れが高くなります。

雪道や凍結した路面では、普段よりも十分に車間距離をとることを心がけましょう。

「急」のつく運転をしない

急発進、急加速、急カーブ、急停止といった「急」のつく運転操作は、雪道や凍った路面ではスリップを招く危険な行為です。

特に雪道や凍った路面は、乾燥路に比べて道路自体が極めて滑りやすいため、スタッドレスタイヤを装着していても過信は禁物で、常に安全運転を心がける必要があります。

カーブに入る前は減速する

雪道や凍結した路面はタイヤとの摩擦力が著しく少ないため、カーブのときに遠心力によって外側に飛び出しやすくなります。そのため、カーブに差し掛かる前に十分にスピードを落とすことが大切です。カーブの途中でブレーキをかけるとスリップの危険性が高まるため、事前に速度を落としましょう。

まとめ

ノーマルタイヤでの雪道走行は法令違反であるだけでなく、制動距離の大幅な延長や、スリップによる事故の危険があります。JAFのテストでは、ノーマルタイヤの制動距離がスタッドレスタイヤの1.5倍以上にも及ぶことが実証されています。

普段雪の降らない地域にお住まいの方でも、急な天候の変化によって雪が降ったり、気温が下がって路面が凍結したりすることがあるため、冬季のスタッドレスタイヤの準備をおすすめします。

適切なタイヤ選びに加えて、万が一のグッズ準備、余裕を持ったスケジュール、事前の情報収集、そして慎重な運転によって、安全な雪道走行が可能です。

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