「トレッドパタンに比べると、タイヤのサイドウォールはデザインの自由度が高い領域と言えるでしょう」そう語るのはコーポレートデザイン課の岩渕聡太郎だ。「しかし自由度が高い反面、異業種のデザインに比べると素材はゴム、色は黒という制約は存在します。タイヤサイドの表面からわずか１ミリの半分に満たない凹凸（典型的な乗用車用タイヤで0.4ミリ）で、光の反射をコントロールし、ロゴやグラフィックを微細加工で表現することが求められます」とその開発の難しさを語る。

REGNOは、ブリヂストンの技術とデザインの結晶であり、全ての性能を妥協せずに作り上げたプレミアムタイヤ。サイドデザインにおいても、REGNOのコンセプトであるTHE GREAT BALANCE®︎の世界観を忠実に反映し、この妥協なき品質を表現することが求められる。「REGNOのサイドデザインは、常に新しい技術やデザインをお披露目する特別なステージになっています。」と岩渕はいう。その象徴とも言えるのが一目でREGNOとわかる分銅繋ぎ模様である。「分銅繋ぎ模様は2011年にデビューしたGR-XTで初採用しました。これは日本で古来、縁起物として使われる模様で、ゴムの質感を超えた煌めきを表現することで、REGNOの世界観をより際立たせています。このデザインは、その後もREGNOの象徴として今回のGR-XIIIでも継承されており、微細なアップデートを重ねながら、ブランドの強化を図っています」。

また、先代GR-XIIと今回のGR-XIIIではラグジュアリーと光の単位であるルクスからとったネーミングを与えたLUXBLACK®︎ (ラックスブラック)という技術も採用されている。「LUXBLACKは、タイヤサイドの微細加工によって光を巧みにコントロールし、ラグジュアリーな質感と黒さを表現するというものです。この微細加工によってクルマとタイヤの一体感やタイヤそのものの美意識を表現できるようになり、ブリヂストンのフラッグシップらしい質感や高級感を手にいれています」。GR-XIIIでは、分銅繋ぎ模様やLUXBLACKによってTHE GREAT BALANCEの世界観を忠実に再現したのだ。