【スペアタイヤへの交換手順】トラブルに備えて自分で対処する方法を知ろう
スペアタイヤの格納場所や向き、状態などは、いざというときのタイヤ交換に備えて事前に確認しておくべきポイントです。この記事では、スペアタイヤに交換する前に確認すべき事項や、交換方法、交換の流れを解説します。

タイヤのトラブルは、定期的な点検で防げるケースもありますが、道路上の釘を踏んだことによるパンクなど、予期せず起こるケースも少なくありません。

突然のトラブルにも安全かつスムーズに対応するためには、事前にスペアタイヤへの交換手順を確認しておくことが大切です。

この記事では、スペアタイヤに交換する前に確認すべきポイントや、7つの交換ステップ、交換後の流れなどについて、詳しく解説します。

スペアタイヤへ交換する前に

スペアタイヤへの交換がいつ必要になっても良いよう、以下の3点については、平時から把握しておきましょう。

  1. 1.工具とスペアタイヤが格納されている場所はどこか
  2. 2.スペアタイヤを取り付ける向きや状態はどうか
  3. 3.安全が確保できる作業スペースがどこか

ひとつずつ解説します。

【確認①】工具とスペアタイヤが格納されている場所はどこか

タイヤ交換に必要な工具とスペアタイヤがどこに格納されているのか、事前に確認しておきましょう。スペアタイヤはトランクルーム内に収められている車種もあれば、車体の下に取り付けられている車種もあり、配置はクルマによって異なります。

スペアタイヤ格納場所

工具は基本的にスペアタイヤの近くに格納されていますが、スペアタイヤが車体の外に取り付けられている場合は、工具のみ車内に収納されていることが多いです。スペアタイヤと工具の正確な位置や取り出し方は、オーナーズマニュアルでご確認ください。

一般的には、以下のような工具が用意されています。

ホイールナットレンチ ホイールを止めているナットを外したり締めたりするため
ジャッキ本体・ジャッキハンドル 車体を上げるための工具
輪止め クルマが動き出してしまうことを防ぐために、タイヤに噛ませるもの

汚れや怪我から手を守るために、軍手も用意しておくとよいでしょう。また、ナットの本締めを行う際、力任せに行うとナットが破損してしまう場合があるため、トルクを設定できる器具「トルクレンチ」を用意しておくことをおすすめします。

【確認②】スペアタイヤを取り付ける向きや状態はどうか

スペアタイヤを使用する前には、取り付ける向きや、使用可能な状態であるかを、事前に確認することが大切です。

まず「スペアタイヤの向き」についてです。指定された方向や向きで装着しないと、タイヤ本来の性能が発揮できないだけでなく、安全面にも影響を及ぼす可能性があります。突然のトラブルに焦って誤った向きで取り付けてしまうことも考えられるため、あらかじめ確認しておくと安心です。

回転方向に指定があるタイヤは、回転の方向を示す矢印と「ROTATION」という文字が側面に刻印されています。タイヤの外側と内側の向きが指定されているタイヤは、「OUTSIDE」や「INSIDE」の文字が側面に刻印されているので確認しましょう。

<回転方向>
回転方向に指定があるタイヤは以下の画像のように、回転の方向を示す矢印と「ROTATION」という文字が側面に刻印されています。

回転方向

<向き>
タイヤの外側と内側の向きが指定されているタイヤは、以下の画像のように「OUTSIDE」や「INSIDE」の文字が側面に刻印されています。

向き

また、いざというときに使えなくて困らないよう、事前にスペアタイヤの状態をチェックしておくことが肝心です。タイヤはゴム製品のため、一度も使っていなくても経年劣化が進み、寿命を迎える場合があります。詳しくは後述の「スペアタイヤは使用しなければ永久的に使える?」をご覧ください。

【確認③】安全が確保できる作業スペースがどこか

タイヤのトラブルで慌ててクルマを停車してしまうと、思わぬ事故につながる危険があります。安全に作業を行える場所を事前に把握しておきましょう。

クルマを停める際は、追突事故や渋滞の発生を防ぐために、後続車から見やすく、ほかのクルマの走行を妨げない場所を選んでください。

また、不安定な場所で作業を行うとジャッキが外れ、車体へのダメージや作業者自身の怪我につながる恐れがあります。できるだけ平らで舗装された地面やコンクリートの上で作業し、砂利や土の上での作業は避けましょう。

加えて、ご自身や周囲の安全を確保できる場所への移動が難しい場合に備えて、レッカーなどの利用について事前に決めておくと安心です。

スペアタイヤへ交換する方法

スペアタイヤへの交換は以下の7つのステップで行います。

  1. 1.車体が動かないようにする
  2. 2.交換するタイヤのホイールナットを緩める
  3. 3.体をジャッキアップする
  4. 4.ナットを外してタイヤを外す
  5. 5.スペアタイヤを装着してナットを仮止めする
  6. 6.ナットを仮締めする
  7. 7.ジャッキを外してからナットを本締めする

ここでは、それぞれのステップについて順を追って見ていきましょう。

STEP1.車体が動かないようにする

まず、AT車であればPレンジに入れ、MT車では1速に入れておきます。サイドブレーキもしっかりとかけましょう。

車体が動かないようにする

交換するタイヤとは対角線上にあるタイヤに輪止めをかけて、車体自体が動かないようにします。例えば、右前のタイヤを作業する場合は、左後ろのタイヤに輪止めをかけてください。

輪止め

STEP2.交換するタイヤのホイールナットを緩める

交換するタイヤのホイールナットを緩める

次に、ホイールを車体に固定するためにある「ホイールナット」というネジを少しだけ緩めておきます。

ホイールレンチを使って反時計回りに力をかけてすべて緩めますが、軽く緩める程度でかまいません。強く締まっている場合は、レンチのできるだけ先端を持って体重をかけるようにすると緩みやすくなります。

アルミホイールであれば、ナットの位置はそのまま確認できます。一方、スチールホイールにはホイールキャップが付いていることがあります。その場合、ホイールキャップを外さないと、ナットは緩められません。

■ホイールキャップの外し方
レンチの後ろ部分の平らな部分やヘラ状のものを使用して、ホイールとキャップの間に差し込み、キャップを外してください。

ホイールキャップを外す
ホイールキャップを外すと、ナットの位置が確認できました。
ナットの位置を確認

STEP3.車体をジャッキアップする

ボディの下にあるジャッキアップポイントを探して、そこにジャッキを当てます。

ジャッキアップポイントはボディの縁(フチ)の部分にあり、その場所には凹みや三角の印が付いています。

ジャッキアップポイント

ジャッキアップポイントを確認したら、ジャッキの先端にある溝に合わせて固定しましょう。

ジャッキアップ

溝が合っていないと、ジャッキアップポイント自体が曲がってしまうことがあります。また、適当な位置にジャッキをかけるのは危険なので、分からない場合は取扱説明書で必ず確認してください。

ジャッキアップポイントにジャッキを確実に当てたら、タイヤが路面から少し浮き上がるまで持ち上げます。タイヤが少し浮く程度でよく、あまり高く上げる必要はありません。

高く上げ過ぎてしまうと、車体が不安定になり大変危険なので、注意してください。

ジャッキアップポイント

ジャッキは事前に少し伸ばしておくとスムーズに作業が行えます。

STEP4.ナットを外してタイヤを外す

車体を上げたら、軽く緩めてあったナットをすべて外し、着いているタイヤを取り外しましょう。

ナットをすべて外す
タイヤを取り外す

順番は特に決まりはありませんが、一番上のナットを最後に外すと、途中でタイヤが手前に倒れてくるのを防げます。

タイヤとホイールは重たいので、注意しながらしっかりと手で押さえるようにして地面に下ろしてください。

※ポイント

外したタイヤとホイールは車体の下に入れておくと、万一、ジャッキが外れたりした場合に、車体が落ちてしまうのを防げます。

タイヤとホイールは車体の下に入れておく

STEP5.スペアタイヤを装着してナットを仮止めする

タイヤを外したら、新しく装着するタイヤを車体に取り付けます。

事前にホイールと車体側のナットがはまる位置を確認して、向きを合わせてから取り付けるとスムーズです。位置が合っていないと、重たいタイヤとホイールを手で持ちながら回転させなければいけないので、負担が大きくなってしまいます。

ホイールとナットがはまる位置を確認

車体に合わせたら、曲がったり、傾いたりしていないかを確認しながら、しっかり奥へと装着します。曲がったまま無理に装着すると、脱落などのトラブルの原因になるため、確実に取り付けましょう。

タイヤを8時20分の場所で、体の向きは正面にして下から支えるように持つと楽に行えます。

タイヤを8時20分の場所で持つ

そして、ホイールとナットの座面形状が一致していることを確認してください。

ホイールとナットの座面形状

一致していることが確認できたら、ナットを時計回りに手で回して、仮止めします。

その際、ナットの内部にゴミやホコリが入っていないかを確認してから入れるようにしましょう。息を軽く吹きかけてから行うと、より確実です。

最初に一番上のナットを入れると、タイヤが手前に倒れてくるのを防げます。

STEP6.ナットを仮締めする

すべてのナットを仮止めしたら、レンチでホイールがガタつかなくなるまで、時計回りに締め込んでいきます。

ナットを仮締めする

1ヶ所をいきなり締めてしまうのではなく、それぞれのナットを均等に2回から3回に分けて順番に締めていきましょう。締める順番については時計まわりなど、順番に横へと移動するのではなく、できるだけ対角線の順で行うと、確実に締めることができます。

対角線の順で締める

STEP7.ジャッキを外してからナットを本締めする

すべてのナットをガタがなくなるまで締め込んだら、ゆっくりとジャッキを下ろして、タイヤを地面に着地させます。

完全にボディが下りて、力がかからなくなったら、ジャッキを取り外してください。

ジャッキを取り外す

ジャッキを下ろしたら、レンチを使ってすべてのナットを本締めします。仮締めの時と同様、2回から3回に分けて対角線の順で均等に締めていきましょう。

トルクレンチがある場合には、車種ごとに設定された力で本締めを行っていきます。トルクレンチがない場合、力任せに締めるとナットが破損する恐れがあるため、注意して締めていきましょう。

ただし、締め付け不足によって走行中にホイールが外れる「脱輪事故」の原因となる危険性も考慮する必要があります。そのため、安全かつ確実に締めるには、トルクレンチを用意して本締めを行うことが望ましいです。

■トルクレンチ

トルクレンチ

最後に輪止めを外します。

輪止めを外します

以上でタイヤ交換の作業自体は終了です。

スペアタイヤに交換したあとの流れ

一般的に、スペアタイヤは緊急時に使用する「テンパータイヤ(テンポラリータイヤ)」と、標準装着されているタイヤと同じサイズ・銘柄の「標準装着タイヤ」の2種類に分かれます。それぞれ特性が異なるため、交換後に行うべき対応も異なります。

ここでは、スペアタイヤの種類ごとに、交換後の流れや注意点について詳しく見ていきましょう。

スペアタイヤが「テンパータイヤ(テンポラリータイヤ)」の場合

テンパータイヤ(テンポラリータイヤ)は、タイヤのトラブル時に一時的に使用する緊急用タイヤです。標準タイヤと比べると幅や接地面積が小さいため、走行速度や走行距離に制限があります。

そのため、長期間の使用には適しておらず、交換後はできるだけ早く標準タイヤに戻さなければなりません。

スペアタイヤが「標準装着タイヤ」の場合

トランクルームなど搭載スペースに余裕があるクルマや、SUVや4×4モデルの場合、普段クルマが履いているサイズ・銘柄と同じタイヤをスペアタイヤとして搭載しているケースが多いです。この場合、交換後もそのまま走行できます。

しかし、スペアタイヤ交換用の車載工具には規定トルクで締め付けるためのトルクレンチが含まれていない場合が多いです。そのため、安全のためにも、一度タイヤ専門店で点検を受けることをおすすめします。ご自身でトルクレンチを用意して締め付けていても、専門家による点検でより安心して走行できるようになるでしょう。

スペアタイヤに関してよくある疑問

スペアタイヤについては、特に以下のような疑問が多く寄せられます。

  • スペアタイヤは使用しなければ永久的に使える?
  • スペアタイヤを装備していないと車検に通らない?
  • スペアタイヤが標準装着タイヤならローテーションに組み込んでも問題ない?

それぞれの疑問に回答していきます。

スペアタイヤは使用しなければ永久的に使える?

タイヤはゴム製品であるため、使用していなくても時間の経過とともに劣化します。

時間が経つと、ゴムから油分が揮発して柔軟性が失われていきます。柔軟性が失われると、タイヤが路面をつかむ力も低下し、ブレーキやハンドリングに影響が出てしまうため注意が必要です。

目安として、製造から5年経過したタイヤは一度点検し、10年以上経過している場合は新品のスペアタイヤへの交換をおすすめします。製造時期は、タイヤ側面のホイールに近い位置に刻印されているので確認してみましょう。

製造時期

スペアタイヤを装備していないと車検に通らない?

スペアタイヤは「万が一のトラブルに備えるため必ず必要」と思われるかもしれませんが、搭載は法規で義務付けられていません。そのため、車検を通す際にも装備は不要です。

むしろ近年は、燃費性能の向上を目的に、新車の多くがスペアタイヤを搭載しておらず、代わりにパンク応急修理キットが採用されるケースが増えています。

▼パンク修理材をタイヤ内部に注入してエア漏れを一時的に止めたのち、エアコンプレッサーで空気を充てんすることで、走行できるようにする「パンク応急修理キット」

製造時期

パンク応急修理キットは軽量で省スペースという利点がある一方で、タイヤが大きく破損した場合やバーストには対応できません。また、使用後は修理が困難になる場合があるというデメリットもあります。

一方、スペアタイヤであればタイヤを丸ごと交換可能なため、こうした修理キットの制約を補えます。

スペアタイヤとパンク応急修理キット、それぞれの特徴を比較し、緊急時の備えとしてより安心できるものを選ぶとよいでしょう。

スペアタイヤが標準装着タイヤならローテーションに組み込んでも問題ない?

標準装着タイヤをスペアタイヤとして搭載している場合は、ローテーション(タイヤの位置を入れ替えること)に組み込んでも問題ありません。普段使わないスペアタイヤをローテーションに組み込めば、未使用で廃棄することなく有効活用できます。また、ほかのタイヤの摩耗の差を均一化でき、タイヤの寿命を延ばすことにもつながります。

ただし、同じスペアタイヤでも、標準装着タイヤと比較して幅と接地面積の小さい「テンパータイヤ(テンポラリータイヤ)」は、一時的な使用を目的とした特殊なタイヤであるため、ローテーションの対象とするのは避けましょう。

まとめ

近年では、スペアタイヤの代わりにパンク応急修理キットが搭載されるクルマも増えています。しかし、より広範囲のトラブルに対応できるスペアタイヤを備えておけば、緊急時の安心感は格段に高まるでしょう。

また、タイヤのトラブルは予測が不可能なタイミングで発生します。緊急時に慌てず安全に対処するには、スペアタイヤへの交換手順を事前に理解しておくことが重要です。。

また、いざというときに使えるように、定期的にスペアタイヤの点検を行いましょう。一つの目安として、製造から5年以上経過したタイヤはタイヤ専門店で点検を受け、10年を過ぎたものは新品への交換をおすすめします。。

ブリヂストンでは、タイヤに関する相談をオンラインや店舗で受け付けており、スペアタイヤの寿命や点検方法についても気軽に相談できます。

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