タイヤの車検基準とは?点検項目を紹介
車検におけるタイヤの点検基準は、負荷能力、溝の深さ、破損の有無、摩耗状況、空気圧、外側へのはみ出しなどです。この記事では、安全運転につながる日常点検の重要性も説明します。

車は、安全・環境基準に適合しているかを確認するために、法令で車検の検査項目や点検基準が定められています。タイヤは車の安全性に直結する重要な部品であり、車検時には点検が行われています。

この記事では、車検におけるタイヤの点検基準を詳しく紹介します。なお、あくまで点検基準であり、車検の合否を保証するものではありませんのでご注意ください。

車検におけるタイヤの点検基準

ここでは、普通乗用車を対象とした車検の基準について解説します。

タイヤの状態が車検基準を満たしているかどうかを理解することで、車検前の事前チェックや日常的なメンテナンスに役立てることが可能です。

タイヤに加わる荷重がタイヤの負荷能力以下であること

タイヤの負荷能力とは、1本で支えることのできる荷重を指します。

車検の基準では、車種ごとに定められた乗車定員が乗った状態または積車状態(※)での重量を、その車両のタイヤ本数で割った値が、タイヤに表示されているロードインデックスに応じた負荷能力以下である必要があります。

※積車状態とは、空車状態の車両に乗車定員(各55kg)の人員が乗車し、最大積載量の物品が積載された状態のことです。

ロードインデックスはタイヤの側面に表示されており、例えば「87」と書かれている場合、そのタイヤの負荷能力は545㎏です。この値が車検の基準となります。

ロードインデックス

溝が1.6mm以上残っていること

車検の基準では、タイヤの溝の深さが1.6mm以上であることが必須です。すべてのタイヤには残り溝1.6mmを知らせる「スリップサイン」が付いており、車検においても、このスリップサインで判定することが許可されています。

スリップサインが現れていない状態であれば、保安基準を満たしていると判断されます。

スリップサイン

著しい破損がないこと

著しい破損とは、コード層の露出のような安全性を確保できない破損を指します。

■コード層とは?
コード層は、タイヤの骨格を形成する部分で、タイヤの受ける荷重・衝撃・充填空気圧に耐える重要な役割を担っています。

タイヤ内部のコード

また、タイヤに石が挟まっていたり、ガラス片や釘などが刺さっていたりしないかも点検されます。異物があった場合には、除去のうえ必要な処置が取られます。

その他、バルブやホイールの亀裂・変形等もチェックの対象です。

異状な摩耗(偏摩耗)がないこと

偏摩耗とは、タイヤの片側だけ、両側だけといったように、部分的にすり減った状態のことを指します。

点検は整備士による目視で行われるため具体的な数値基準はありませんが、安全性に影響を及ぼす程度の偏摩耗は、車検不合格の対象です。

参考として、偏摩耗には以下のようなケースがあります。

異状な摩耗

適正空気圧であること

適正空気圧とは、車種ごとにカーメーカーが指定している車両指定空気圧のことで、この数値が車検の基準となります。

車両指定空気圧は通常、運転席ドアの開口部や給油口等に貼られている「車両指定空気圧」のシールで確認することが可能です。

空気圧表示シール

規定以上にはみ出ていないこと

普通乗用車の場合、タイヤの外側へのはみ出しは「10mm未満」であれば許容範囲とされています。

なお、突出量の測定は、タイヤ中心からの延長線を軸に、車体前方へ30度、後方へ50度に交わる2平面でチェックされます。

あくまで車検は検査時点の安全性であることに注意

車検は検査時点の安全性を保証するものであり、有効期間内の安全性を保証するものではない点に注意が必要です。車検を通過したからといって、その後の有効期間中に車の状態が常に良好であるとは限りません。

走行距離や路面環境などのさまざまな要因によって、タイヤの劣化や破損などが起こる可能性があります。そのため、車の所有者は自ら日常的に点検を行い、車の安全を継続的にチェックすることが義務付けられています。(※1)

普通乗用車の場合、タイヤに関する日常点検の項目は以下のとおりです。

点検項目 詳細
空気圧

空気圧が不足していないか(通常はタイヤのたわみ具合で確認しますが、偏扁平チューブレスタイヤのようにたわみ具合が分かりにくい場合や、長距離・高速走行を行う前にはタイヤゲージを用いて確認しましょう)

亀裂・損傷

著しい亀裂や損傷がないか、また釘・石・その他の異物が刺さったり、巻き込んだりしていないか

溝の深さ

異状に摩耗していないか

空気圧

溝の深さが十分に残っているか(スリップサインを目印に点検しましょう)

スクロール

※出典元:https://www.jatma.or.jp/media/pdf/_old/hourei.pdf

(※1)出典元:https://www.jatma.or.jp/media/pdf/_old/hourei.pdf

まとめ

タイヤの車検点検基準は、負荷能力、溝の深さ、破損、摩耗、空気圧、はみだしの6つが基本となります。

ただし、車検はあくまでも検査時点での安全性を保証したものであると、理解しておくことが大切です。タイヤは唯一路面と接する保安部品であり、「走る・曲がる・止まる」という車の基本性能に大きく関わっています。

したがって、車の所有者自身が日常的に点検を行い、タイヤの状態をしっかりと確認することが、安全で快適なカーライフを実現するために欠かせません。日々の点検習慣を身につけることで、タイヤの異常を早期に発見し、適切な対応を取ることができます。

なお、ブリヂストンではタイヤの無料安全点検を実施しています。ご自身で点検することに不安がある方や、専門家のアドバイスが欲しい方は、お気軽にご相談ください。安全なドライブのために定期的なタイヤチェックを心がけ、必要な場合はタイヤ交換を行いましょう。

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