偏摩耗の管理方法
偏摩耗は5つの管理で抑えられます。
1
適正空気圧の設定
トラック・バス用タイヤは、自動車製作者の指定空気圧を基準とし0~+80kPa(0.8kgf/c㎡)以内の範囲で高めに設定してください。タイヤの空気圧は走行前の冷えている時にエアゲージにより点検してください。 また空気圧は自然に自然に低下するので、最低1カ月に1度は点検してください。
2
適正ローテーションの設定
タイヤの摩耗は装着位置により異なり、摩耗のくせを均一化するため位置交換が不可欠です。車両の条件(車種、装着位置、走行状況等)やタイヤの摩耗状況に合わせて定期的にローテーションを実施してください。
3
アライメント
衝撃や長年の使用で、クルマとタイヤの取付け角度(アライメント)には、少しずつズレが生じます。車両販売店やタイヤ販売店等にご相談いただき、適宜、ホイール・アライメントを調整してください。
4
複輪外径差・空気圧差
複輪タイヤは許容外径差の範囲内のタイヤを組み合わせて使用し、許容範囲内で外径差がある場合は外径の小さい方を内側に装着してください。また、複輪タイヤの空気圧は同一に調整してください。
5
車両整備
各メーカーの取り扱い説明書に従って整備を実施してください。
偏摩耗発生要因・対処法一覧表
お客様の摩耗形態は? その対処方法は?
偏摩耗の種類 | 発生形態 | 主な発生原因 | チェックポイント |
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センター摩耗 |
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①空気圧過多による使用。 ②リア駆動軸で多く見られ、荷重が垂直にかかるためセンター部分が摩耗する。 |
✔適正空気圧 ✔適正ローテーション |
肩落ち摩耗 |
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①フロント装着におけるトーイン、キャンバーの影響によって発生する。 ②なお、促進要因として空気圧不足もある。 ③また、路面傾斜の影響により発生する場合がある。 |
✔適正ローテーション ✔アライメント ✔適正空気圧 |
リバーウェア |
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頻繁に急カーブを切った場合等、サイドフォースがかかる場合に発生しやすい。 | ✔適正ローテーション |
両肩落ち摩耗 |
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①オーバーロード(過荷重)および空気圧不足のときに多く見られる。 ②また、フロント装着時においてはトーイン、キャンバーの影響によっても発生する。 |
✔適正ローテーション ✔アライメント ✔適正空気圧 |
片減り摩耗 |
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①フロント使用時トーイン、キャンバーの影響により大なり小なり発生する。 ②頻繁に、急カーブを切った場合。 ③また、路面傾斜の影響により発生する場合がある。 |
✔適正ローテーション ✔アライメント |
フェザーエッジ 摩耗 |
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①トーイン、キャンバー不良。 ②空気圧不足。 ③頻繁に、急カーブを切った場合。 ④また、路面傾斜の影響により発生する場合がある。 |
✔適正ローテーション ✔適正空気圧 ✔アライメント |
リブパンチング |
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①後輪使用時に外径差および空気圧差が複輪内外でついた場合に発生する。 ②フロント使用時、トーイン、キャンバーの影響により発生することがある。 |
✔適正空気圧 ✔アライメント ✔適正ローテーション ✔複輪外径差・空気圧差 |
波状摩耗 |
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①トーイン、キャンバーの調整不良により発生する。 ②空気圧不足。 ③複輪外径差および空気圧差。 |
✔適正空気圧 ✔アライメント ✔複輪外径差・空気圧差 |
多角形摩耗 |
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①複輪外径差および空気圧差。 ②空気圧不足。 ③タイヤ+ホイールアッセンブリーでのバランス不良。 ④ベアリングとキングピンのガタ。 |
✔車両整備 ✔適正空気圧 ✔複輪外径差・空気圧差 |
スポット摩耗 |
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①複輪内外差および空気圧差。 ②ベアリングのガタなど、回転部分のアンバランスにより特定部分で過大な摩擦がかかると発生する。 ③急激なブレーキ、または発進により局部的摩耗が増長し発生する。 ④ブレーキドラムの変形による特定部分でのブレーキの効きすぎ。 |
✔車両整備 ✔適正空気圧 ✔複輪外径差・空気圧差 |
ヒール&トー摩耗 |
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①特にフロント装着時に多く見られるが、この軸はブレーキ力(制動力)だけが作用するのでこのような摩耗が発生する。 ②また、リア装着時においても空気圧不足であると発生する。 |
✔適正ローテーション ✔適正空気圧 |