REGNOの開発ストーリーからサステナブルな社会に思いを馳せて

ビジネスとサステナビリティの両立はいかにして果たされるのか。持続可能性の本質を捉えた経済活動という難しい課題に取り組むのが、社会起業家で環境活動家の深本南さん。「人々の行動変容を促すのは確度の高い情報とリアルな体験」という深本さんが訪ねたのは、東京・小平市にある「ブリヂストン オープンイノベーションハブ」。ブリヂストンがサーキュラーエコノミーを軸としたビジネスモデルの確立を進めていると聞き、取材に訪れたのです。「ブリヂストン オープンイノベーションハブ」での深本さんの1日を追いかけました。

REGNOの開発ストーリーから
サステナブルな社会に思いを馳せて

深本さん(以下、深本)
タイヤ業界のリーディングカンパニーであるブリヂストンが、2050年をめどにサーキュラーエコノミーの確立を目指していると聞いてワクワクしていました。まずはどんな未来を思い描いてサーキュラーエコノミーに向かっているのか、目指しているゴールを教えてください。
ブリヂストン サステナビリティコミュニケーション戦略部 豊岳さん(以下、豊岳)
私たちが掲げているミッションは、『2050年、サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値、顧客価値を持続的に提供する会社へ』というものです。タイヤを『創って売る』という事業に加え、お客さまがタイヤを『使う』段階で新たな価値をもたらすソリューション事業、製品としての寿命を迎えたタイヤをお客さまから回収し、原材料に『戻す』リサイクル事業を推進することで、社会やお客さまとともに持続的に成長していこうと考えています。

深本

2050年までに製品の原材料の100%をサステナブルマテリアル化する、そのために再生資源や再生可能資源に切り替えるという目標を掲げていると伺いました。壮大な目標ですが、それに向かってどう動いているのでしょう?

※当社グループでは、「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けています。

豊岳
使用済みのタイヤを回収し有効活用するというタイヤビジネスのサーキュラー化を促すことはメーカーとしての責任だと感じています。それに至るステップとして、2030年までに再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に引き上げようとしています。
深本
40%!夢が膨らむお話ですね。

走行性能だけではない!
REGNOが実現した環境性能

深本
新製品の『REGNO GR-XⅢ』は環境性能も高めたタイヤだと聞いています。その開発のストーリーやポイントを教えてください。
豊岳

タイヤに求められる性能は走行性だったり快適さだったり、メーカーや車種、地域や産業ごとに異なります。さまざまなタイヤ性能を高いレベルで保ちつつも、ますます多様化するニーズに応え、お客さまが想像する以上の価値をもたらす「究極のカスタマイズ」――このようなものづくりを実現しているのが、当社独自の商品設計基盤技術、ENLITEN®︎です。 『REGNO GR-XⅢ』は、国内の市販乗用車に向けて初めてこのENLITEN®︎技術を搭載した商品になります。

このタイヤの特徴は、

1. 再生可能資源を取り入れている
2. 大幅な軽量化の実現
3. 転がり抵抗の低減

の3点です。まずは実際に手に取っていただくのがいいでしょう。

※当社製品内において、「ENLITEN®︎」技術により市場・地域によってタイヤ性能をカスタマイズすることを表します。また「究極」とは企業としての目標を指します。

深本
わあ、すっごく軽い!従来のタイヤに比べると厚みもありませんね。これにはどういうメリットがありますか?
豊岳
軽いということは省資源化に貢献できます。また、生産や輸送におけるCO2排出量を削減できます。つまり製品プロセスの全体で環境負荷の低減に貢献できるのです。
深本
軽いと乗り心地が悪かったり、性能面が損なわれたりという心配はないのでしょうか?品質と軽量化のバランスについてはどうお考えですか?
豊岳
おっしゃる通り、一昔前は『軽量化や再生資源の採用=性能を犠牲にしている』というネガティブなイメージで捉えられがちでした。けれどもENLITEN®︎を搭載した『REGNO GR-XⅢ』はブリヂストンのラインナップのなかでもプレミアムに位置付けされる高品質タイヤで、車両に求められる性能を高い次元で維持しながらサステナビリティを実現できています。使う材料を抑えながら同じ性能を引き出すには高い技術が必要ですから、そこに着目していただけるとうれしいですね。
深本
3つ目のポイントの『転がり抵抗』とはなんでしょう?
豊岳
転がり抵抗とは、タイヤが路面を転がるときに地面との摩擦で生じる抵抗のことで、転がり抵抗が少ないほどそれに対抗するエネルギーが少なくなるので燃費の向上につながります。転がり抵抗はタイヤの設計で低減することが可能です。タイヤがどう作られているか、プロセスをご覧いただきながらお話しましょう。

ここでギャラリーの一角にある、
タイヤの原材料を展示するスペースへ。

深本
タイヤって、シンプルにゴムでできていると思っていたんですが、こんなにたくさんの原材料が使われているんですね。
豊岳
原材料は天然ゴムが3割を占めますが、カーボンブラックやシリカといった配合剤、スチールやアラミドなどの構造材なども必要です。しっかり転がるというタイヤ本来の性能を高めるためにさまざまな素材が使われているんです。

深本
このなかでもシリカをもみ殻で代用するなど再生資源・再生可能資源を増やしたり、新しい天然ゴム資源としてグアユールの研究を行っていたり、資源の持続可能な利用のためにさまざまな素材の可能性が模索されているんですね。
豊岳
タイヤはただのゴムのかたまりではなく、さまざまな材料を混ぜ合わせ、温度と圧力で成形して完成します。タイヤのリサイクルの難しさはそこにあります。使用済みのタイヤを元の材料に戻すことは非常に困難ですが、ブリヂストンはパートナー企業と手を取り合ってタイヤを元の素材に戻すための研究を進めています。たとえばエネオス株式会社とは、使い済みのタイヤを熱分解してタイヤの原材料に戻す循環リサイクルに取り組んでいます。

タイヤのポテンシャルを実感した、
極上の乗り心地

それでは「REGNO GR-XⅢ」の乗り心地を
深本さんに体感していただきましょう。

深本
すごく静かですね。そしてなめらか。シンプルに気持ちがいい!タイヤって、こんなに車の乗り心地を変えるものなんですね。恥ずかしながらまったく知りませんでした。
豊岳
まさに車両空間で会話や静けさを楽しんでいただける乗り心地が、このタイヤの特徴の一つなんです。それぞれのモビリティが目指す性能に合わせた静かさや乗り心地、安定感にこだわって開発しました。
深本
素人考えですが、タイヤというのは厚みがあるほど乗り心地はスムーズなのかと思っていました。薄くてもこんなに滑らかに走るんですね。
豊岳
タイヤの厚みに衝撃を吸収させるというイメージを持つ方は多いもかもしれませんね。ENLITEN®︎を用いることで、使う資源はなるべく少なく、かつ高い次元の走行性能を引き出しています。
深本
実際に走りを体験して、タイヤのポテンシャルをあらためて実感しました。

「ブリヂストン オープンイノベーションハブ」
での取材、
そして試乗体験を通じて、
深本さんはどんな感想を抱いたのでしょう。

深本

サステナビリティというと、ついつい頭でっかちに捉えられてしまい、ものごとの本質が伝わりづらくなってしまうことがあります。けれども今日の取材を通して、根底にサステナビリティがありつつも、その上で性能やものづくりにこだわった製品が人々の心に訴えかけるのだということを実感しました。タイヤがもたらす心地よさや快適さをリアルに体感した後に、そのものづくりの背景にサステナブルな取り組みがあることを知るというストーリーの方が、多くの人の心に響くのではないでしょうか? ブリヂストンが創業から掲げている高い次元でのものづくりはそのまま、未来を見据えて生物多様性や環境への配慮、サーキュラーエコノミーを目指した開発が進められていることに、明るい未来を感じました。

また、新しいサステナビリティの実現に向け、パートナー企業と協業している点にも大いに共感しています。社会は競争の時代から共生の時代へとシフトしつつあります。さまざまなステークホルダーと手を取り合い、地球環境やすべての生き物に思いを馳せながら生きていく、そんな優しい社会の姿を思い描くことができました。

深本南

深本南 / ふかもと・みなみ
社会起業家、環境活動家。『ELEMINIST』創設者。大学在学中の2002年、環境団体を設立する。2004年、ビジネスを通じた社会貢献を目指してファッション業界へ。ECコンサルティングやマーケティング職などを経て、2020年にエシカルな情報を発信するウェブメディア『ELEMINIST』をスタート。2023年、株式会社UPDATERエグゼクティブアドバイザーに就任し、オーストラリア発エシカル評価機関「Good on you」の日本版「Shift C(シフトシー)」をローンチ。サステナビリティをテーマにした事業を多数、展開する。

製品ラインアップ

  • REGNO GR-XIII REGNO GR-XIII  

    ENLITEN®搭載によるGREAT BALANCE®の進化と拡張で空間品質と走行性能、サステナビリティ性能を高次元で両立。

  • REGNO GR-XII REGNO GR-XII  

    上質な静粛性能、優雅な乗り心地、冴えわたる運動性能。洗練されたグレートバランスが、最高の走りを追求。

  • REGNO GRVII REGNO GRVII  

    音楽や会話が穏やかに満ちてくる、静かで快適な乗り心地。ミニバンは心やすまるリビング空間に近づいてくる。

  • REGNO GR-Leggera REGNO
    GR-Leggera
     

    "REGNO"の名を持つに相応しい性能を持つ軽自動車専用GR-Leggera。ワンランク上の静粛性、乗心地であなたの車はタイヤで変わる。