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Formula Drift JAPAN 2024 Report
Rd.3 EBISU CIRCUIT 6/15~16/2024
メカニックのサポートで輝く
草場祐介の走り
フォーミュラドリフトジャパンに挑む草場祐介を支えるのは、
チームクスコのハイポテンシャルマシン。
そして、そのマシンをメンテナンスする前田康介メカニックの存在だ。
メカニックとの強固な信頼関係が、草場の思い切った走りを実現する。
ドライバーのメンタルが競技結果に大きく影響する
POTENZA RE-71RSの強力なグリップを武器に、フォーミュラドリフトジャパンに挑戦する草場祐介選手。使用するマシンは、名門チームのクスコレーシングが全日本ラリー、海外ラリー、全日本GT選手権、スーパー耐久などで培った技術を結集して一から製作したGR86だ。このGR86はあらゆる部分がカスタマイズされている。
エンジンは80スープラやアリストなどに搭載されていたトヨタの直列6気筒3Lエンジン・2Jをベースに排気量をアップし、ギャレットのタービンを組み合わせて約1000psを発揮する。
駆動力はシーケンシャルミッションを介してクイックチェンジのデフに伝えられ、リアタイヤを強力なトルクで回す。
足回りはアーム類のジオメトリーを含めて再設計され、アップライトも鍛造アルミ材から削り出して製作される一品もの。これにより理想的なサスペンションの動きとステアリングの切れ角を実現している。この高度な設計を維持するためには、メンテナンスは非常に重要な要素となる。
このような複雑な足回りは、幅広いセッティングが可能である反面、調整箇所が多くナーバスであるが故に、メカニックによるチェックや調整が欠かせない。FDJの現場でその役目を担うのが前田康介メカニックだ。
前田はプロのメカニックではなく、愛知県の自動車メーカーに勤務するエンジニアだ。メーカーでは車両の開発や設計を担当している。趣味としてドリフトを嗜み、その縁でクスコレーシングをサポートするようになった。イベント終了後のメンテナンスはクスコ社内で行われるが、FDJの現場ではチームが参戦を始めた4年前から前田がメカニックを務めている。
基本的に現場では大きなセッティング変更は行わず、手早く交換できるファイナルギアやサスペンションセッティング程度の調整を行う。そのほか、アライメント調整やタイヤの清掃など、クルマを常にベストコンディションに保っておくことが彼の役目だ。
ドリフトは、グリップの限界でタイヤをコントロールするスポーツだ。その上で、対戦相手に合わせて、あるいは凌駕するための走りが必要で、一瞬の判断が勝敗を分ける。競技中はスポッターが無線でアドバイスを送るが、走行中のドライバーは孤独だ。ドリフトドライバーのメンタルには大きな負担がかかる。この孤独を支えるのが、ドライバーとクルマ、そしてそれを作るスタッフとの間の信頼関係だ。この信頼関係があってこそ、常識を超越した走りが可能となるわけだ。
そしてこの信頼感とともに、迫力あるドリフトを生み出す大きな要素となるのが、タイヤのグリップである。
POTENZA RE-71RSは高いグリップと安定感が特徴で、「気温やウェット路面などのコンディションに左右されずに常に高いグリップを発揮してくれる」と草場は言う。暑い夏場のラウンドでも安定したグリップを提供し、思い切り走れる安心感をもたらす。
各コースや、そのコンディションに合わせたセッティングでは、前田のサポートが欠かせない。基本的なセッティングは定まっているが、前田はコースに合わせてアライメントやバンプラバーの厚みを調整し、RE-71RSから最大限のグリップを引き出す。
4年前の参戦当初は、ドリフト対応のマシンも開発途上でトラブルも多かったため、草場と前田との信頼関係は薄かったと言う。しかし、困難を乗り越えて強い信頼関係を築き上げてきた。今ではクルマの準備をすべて任せられるようになり、草場は走行に集中できると語る。
この信頼関係が強いチーム力に繋がり、リザルトも徐々に向上していった。今回の予選では6位と健闘し、決勝でもハイレベルな戦いぶりを見せた。今シーズンのチームの団結力の強さは、さらなる飛躍を予感させる。
#77 Team Cusco Racing GR86 草場佑介 | |
予選6位 | 85点(ライン31点 アングル31点 スタイル23点) |
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GREAT16 | 中村直樹戦 敗退 |
Result | 総合結果10位 |