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Formula Drift JAPAN 2024 Report
Rd.2 SUZUKA TWIN CIRCUIT 5/18~19/2024
ホイールマイスターとの対話が
草場選手の足元を支える
フォーミュラドリフトジャパンに挑む草場佑介にとって
POTENZA RE-71RSの高いグリップ性能を引き出すために
重要となってくるのがホイールだ。
今回は、POTENZAホイールのスペシャリストに迫る。
ホイールとタイヤとのセットで
いかに路面とコンタクトするか
クスコレーシングからフォーミュラドリフトジャパンに挑む草場佑介。今シーズンも彼の足元を支えるのは、POTENZA RE-71RSとPOTENZA RW007だ。チームクスコはこれまで全日本ラリー、海外ラリー、全日本GT選手権、スーパー耐久などで活躍してきた名門チーム。近年はフォーミュラドリフトジャパン(FDJ)に挑み、実績を重ねてきた。
もともとはプライベーターとしてドリフト競技に参戦していた草場佑介だが、現在はFDJで、唯一のPOTENZAユーザーとして戦っている。
マシンはトヨタの直列6気筒3Lエンジンである2Jをベースに排気量をアップ。エンジン内部にはフルチューンが施され、ギャレット製タービンが多量の空気を押し込む。フルブースト時には約1000psを発揮。シーケンシャルミッションに伝わった爆発力はクイックチェンジのデフを介してタイヤに伝えられる。
重量バランスと冷却効率を考えてラジエーターはトランクルームに置かれ、巨大な電動ファンで強制冷却する。走行風があまり当たらないドリフトでは、接触によるダメージも考慮すると、リアにラジエーターを置くのが最善なのだ。
できうる対策をほぼすべて施したクスコレーシングのGR86。マシンのポテンシャルはFDJでもトップクラスだ。その強大なパワーをいかに路面に伝えるか、そこで重要になるのがタイヤとホイールである。
草場選手が使用するPOTENZAホイールの企画制作をしているのが高野智弘氏だ。ホイール畑ひと筋という高野氏はホイールに要求される性能についてこう語る。
「軽さだけではなく、ホイールには強さが大事です。たとえば大きなキャリパーを装着することができるスポークは、湾曲している分だけその方向にたわみやすくなり、フィーリングが変わってきます。真っ直ぐなスポークの方がダイレクトに感じやすい。でも、スポークが湾曲するのがダメなわけではない。各要素の特性をどのように組み合わせて使うかという問題です」
停止状態からできるだけ鋭い加速をしてスピードのあるドリフトに入ることができれば、アドバンテージを得やすい。追走で、相手との距離を詰めるためにも、スタートの速さは武器になる。
ダッシュの速さはエンジンパワー、それを路面に伝えるタイヤのグリップ、そして、そのグリップに負けないホイールが必要となる。
一方で、ホイールには、高い剛性と強度だけでなく、たわんだり、ショックを吸収したりするサスペンション的な性能も要求されるのだ。
草場選手が使うRW007のメッシュ状のスポークは、見た目の美しさだけではなく、タイヤが路面を掴むための優れた剛性バランスを持つ。タイヤが路面に綺麗に押し付けられるので、グリップ性能を最大限に発揮できる。ホイールによって引き出されるタイヤ性能も変わってくるというわけだ。
RW007がRE-71RSから引き出す高いグリップが、草場選手のドリフトを支えている。
また、他車との接触やコース外に飛び出すリスクもあるドリフト競技だけに、文字通りの意味での強いホイールが欠かせない。リムが曲がる程度ならそのまま走行できるが、割れてしまうと走行不可になってしまう。そこで鍛造製法によって作られた強いホイールであることが重要な要素になる。
「ホイールはタイヤと違ってセッティングできることはありません。しかし、トラブルの大小を問わず、そのトラブルがどんな場面で、なにが原因で起きたのかは正確に把握する必要があります。実際に現場に足を運び、そういったデータを収集して、ホイール製作に活かしています」と高野氏。
グリップに優れるタイヤを剛性あふれるホイールでグリップさせるからこそ、速くて角度のついたドリフトが可能になる。そこにクレバーな草場佑介の走りが相まって、これまでも好成績を残してきている。
「ホイール担当ですが、見て思ったことは草場選手に伝えるようにしています。それは走りについてもそうだし、タイヤの減りなどを見てセッティングの話をすることもあります」
高野氏は常に現場でクルマと走りをチェックしている。
走りのアドバイスもそうだが、雨の降る決勝前には、窓や足もとの水を拭き取るためのペーパーウエスをさっと草場選手のコクピットに置く。ちょっとしたことだが、ドライバーが気持ちよく走れる環境を整えるのも高野氏流のサポートである。
第2戦鈴鹿ツインサーキットでは、GR86の足まわりのセッティングが決まってきたこともあり、他車に対して速さでは負けないドリフトが可能になった。ドリフト中の速度を高く保てたことで、予選を8位で通過。決勝でもTOP32を突破。総合12位に入る健闘を見せた。
草場佑介は多くの人に支えられて、シリーズチャンピオンを目指して常にチャレンジを続けている。
#77 Team Cusco Racing GR86 草場佑介 | |
予選8位 | 85点(ライン28点 アングル31点 スタイル26点) |
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GREAT16 | 中村直樹戦 敗退 |
Result | 総合結果12位 |