Motor Sports / Time Attack > TOYOTA GR86/BRZ Race 2023 Report > GR86/BRZ Cupで繰り広げられるGT300ドライバーの戦い
Vol.06
GR86/BRZ Cupの第6戦が10月28-29日に三重県の鈴鹿サーキットで開催されました。
#7堤 優威選手(POTENZA)が2位表彰台を獲得し、#121蒲生 尚弥選手(POTENZA)が今シーズンの初表彰台となる3位を獲得しました。また、ポイントリーダーの#88井口卓人選手(POTENZA)は4位入賞。結果、シリーズ争いは堤選手が井口選手に5ポイント差まで迫りました。
最終戦を前に、シリーズタイトルの行方はPOTENZA RE-09Dユーザーの井口選手と堤選手の2名にほぼ絞られました。
今回は、スーパーGT GT300クラスで2023シリーズチャンピオンを獲得した#160吉田 広樹選手(POTENZA)、その吉田選手と最後までタイトル争いを演じた堤選手、#199 平良 響選手、そして、GR86/BRZ Cupのタイトル争いのトップにたつ井口選手。GT300ドライバー4名に、GR86/BRZ Cupでの戦いについて話を伺いました。
今シーズンは、スーパーGTのみならず、スーパー耐久のST-Zクラスでもチャンピオンを獲得した吉田広樹選手。GR86/BRZ Cupでも、勢いそのままに、毎戦その速さを見せていました。
「スーパーGTは、マシンの特性であったり、作戦であったり、さまざまな要素が結果を左右するレースですが、このGR86/BRZ Cupはワンメイクということもあって、ドライバーの腕とチーム力が特に求められます。セッティングに多少の幅はありますが、ほぼ同一コンディションの中で、堤選手や平良選手を始めとしたGT300で戦うライバルたちと、本当に僅かなタイム差の中で勝負をしなくてはならないので、そういった意味でも、GR86/BRZ Cupは非常にレベルの高いレースだと思います。スーパーGT、S耐の二冠を達成したことで、チーム力は証明できていると思うので、ライバルたちとの厳しい戦いの中でたくさん学んで、さらに自分自身を成長させていきたいと思います。」
スーパーGTでは、吉田選手と最終戦までタイトル争いを繰り広げた堤 優威選手。GR86/BRZ Cupでは、ポイントリーダーの井口選手とタイトルを争います。
「GR86/BRZ Cupでレベルの高いレースが繰り広げられていることは、すでに広く認知されていると思います。GT300を共に戦っているライバルが大勢参戦していて、GTで結果を出しているドライバーがGR86/BRZ Cupでも結果を出しています。今シーズンは、両方のレースで同じようなメンバーでタイトルを争うことができていて、互いに尊敬しあえるライバルたちとの戦いは、非常に楽しいですし、当然、負けたくないという気持ちがあります。
GR86/BRZ Cupは、自分の実力を証明できる貴重なレースです。今シーズン、タイトルを争うライバルは同じPOTENZA RE-09Dユーザーの井口選手なので、最後はドライバーの腕がタイトルの行方を左右することになると思います。」
今シーズン、スーパーGTでチームメイトの堤選手と共にタイトル争いを繰り広げた平良選手。GR86/BRZ Cupでも、2度の表彰台獲得を果たし、その実力を見せつけていました。
「GR86/BRZ Cupはタイヤこそ2メーカーありますが、マシンはワンメイクなので、ほぼドライバーの実力勝負になります。ここで勝つことで、ドライバーとして優っていることが証明できると思います。
開幕戦から、このレースについて、堤選手からいろいろなアドバイスをもらっていて、そのおかげでオートポリスでは予選2位を、十勝では初のポールポジションを獲得することができました。その十勝で堤選手に『絶対、決勝でお前を抜くからな』と言われて、そのまま優勝されてしまいました。なのでGT300に参戦しているドライバーの中では、チームメイトの堤選手が一番の目標であり、ライバルですね。スーパーGTでも負けたくないですし、GR86/BRZ Cupでも一番負けたくないドライバーです。」
今シーズン、第2戦のオートポリスで優勝を果たすと、その後はポイントリーダーの座を一度も明け渡すことなくコンスタントに成績を残している井口選手。チャンピオン獲得へ迫りながらも冷静にタイトル争いの行方を見ていました。
「GR86/BRZ Cupには、これまで長年参戦してきて、簡単にタイトルが獲れるレースではないということは身に染みてわかっているので、チャンスがあるうちにとっておきたい気持ちは当然ありますが、まずは目の前の一戦に集中していきたいと思います。
結果を求める意味では同じなのですが、スーパーGTでは、2名のドライバーがチームを組んで戦いますし、ライバルとはエンジンもマシンも、そしてタイヤも違います。一方で、マシンの性能差が小さいワンメイクでは、ひとりで走るということもあり、より『自分自身で結果を出す』という部分がドライバーにとってのやりがいになってくると思います。」
GR86/BRZ Cupで鎬を削りながらも、ライバルへの尊敬の念を忘れないGT300のドライバーたち。
これからも互いに高め合いながら、スーパーGT、GR86/BRZ Cupの両レースでハイレベルな走りを披露してくれるでしょう。
POTENZAと共に戦う彼らの走りにぜひ注目してください。
元86/BRZレーサー(実は2013年初代ポールシッター)。
2023年BMW&MINI Racingレースディレクター。