Motor Sports / Time Attack > TOYOTA GR86/BRZ Race 2023 Report > POTENZAと共に再び加速するミスタースーパーGT
Vol.03
栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されたGR86/BRZ Cup第3戦で、POTENZA RE-09Dユーザーが開幕から3戦連続となる表彰台独占を果たしました。
予選では#160吉田広樹選手(POTENZA)が2'13.393のタイムでポールポジションを獲得。決勝では、マシンにかかる負担も大きい猛暑の中でのレースとあって、ホールショットを決めてトップを独走していた吉田選手が7周目でリタイヤ。代わってトップに躍り出た#87久保凜太郎選手(POTENZA)が優勝を飾り、チームタクティのBRZが2戦連続優勝、スバルBRZにとっての初連勝をもたらしました。
シリーズランキングでは、第3戦で3位表彰台を獲得した#88井口卓人選手(POTENZA)を筆頭に上位9台までをRE-09Dユーザーが占める結果となしました。
今回は、現在シリーズランキング7位につけるミスタースーパーGTこと#11脇阪寿一選手(POTENZA)に、GR86/BRZ Cupへの想いとPOTENZA RE-09Dについてお話を伺いました。
TOYOTA GAZOO RACINGのアンバサダーを務め、2016年よりGR86/BRZ Cupに参戦している脇阪選手。これまでは、あくまでも参加型レースの盛り上げ役として、裏方に徹する姿勢を見せていましたが、昨シーズン終盤よりコンスタントに上位に顔を出し、多くのモータスポーツファンを喜ばせてくれています。
「小さい頃からずっと負けず嫌いで生きてきました。負けた時に人前でどんな顔をしていいのかわからない怖さ、その怖さから逃げるために、勝って自分を証明するという生き方しかできなかったんです。
スーパーGTを引退して監督業に進んでからは、若いドライバーたちを光り輝かせるための活動へと舵をきって、負けず嫌いな自分を少し遠ざけていましたが、自分の中では、少しモヤモヤしていたところもありました。もちろん、若かった時よりもドライバーとして能力的に落ちてきていることは理解していますが、イベントやサーキットを訪れてくれるファンからは、走っている姿を見ることが一番楽しいといううれしい声もあります。そんなファンの方たちのために、今よりももっと前を走ったら、もっと喜んでもらえるのではないか。そんな心境の変化が昨年からの成績の変化につながっているのかも知れません」
脇阪選手が語る「負けたくない」気持ちは、ファンへの想いにとどまらず、若いドライバーたちへの想いにも繋がっています。
「GR86/BRZ Cupは、入門カテゴリーのレースですが、僕が参戦しているプロクラスでは、毎戦激しいバトルをさせてもらっていますし、予選や決勝の前には当然のように緊張します。そんな環境でこの歳でもレースをさせてもらっていることに本当に感謝しています。
そしてこのレースは、若いドライバーたちにとってはさらに上のカテゴリーに進んでいくための登竜門でもあります。僕が若い頃には、国内での活躍が目標でしたが、今の若者たちは、これまで以上に世界に出て行かなくてはならない世代だと感じています。彼らのために、このレースでベテランが役に立てることがきっとあると思います。若者たちに正しいレースの基礎を身につけて欲しい、世界に通用するバトルを教えたい。そのためにも、僕が良い意味での壁になって、それを乗り越えていく若者たちの未来の可能性を少しでも広げたい。これも、今の僕の役割だと思います」
さらに、昨シーズンからの好結果は、脇阪選手が求める高次元の走り、その感覚が戻ってきたことも要因のひとつのようです。
「昨シーズンからタイヤをPOTENZA一択に変更したことで、タイヤへの迷いがなくなったことは大きいですね。POTENZA RE-09Dは、耐久性、熱に対する耐性が高く、高次元でバランスが取れている文句のつけどころのないタイヤですね。本当に自分の手足のように動いてくれて、これまで僕がスーパーGTなどで培ってきた感覚が市販車レベルで実現できていると思います。過去に調子の良い走りができていた時と同様に、タイヤのグリップがイメージ通りなんですよね。
POTENZAの優れている点は、どんな時でも安定して高いポテンシャルを発揮してくれる点にあると思います。これはRE-71RSなどでも同様で、サーキットユーザー層であれば、グリップが安定しているので、自分の走行に、より集中できると思います。また、より幅広い一般層に関しても、普段のドライビングで、もし何かあった時にグリップのある、信頼感のあるタイヤを利用することが、カーライフの不安を軽減する1つの要素になると思います。タイヤを購入される際には、レースの成績を気にして判断することは大事だと思いますね」
「どこまでいけるかはわかりませんが、この歳になっても自分にできる最大限のことを、若い頃から自分を応援してくれた人々のために、そして、若いドライバーたちのために、正しい意地を張って、正しい壁として立ちはだかって、若者たちの未来を作りたい。自分だけは自分を信じて走り続けたいと思います」
応援してくれる人たちへの想い、そして若手ドライバーへの熱い想い、この2つが脇阪選手の走りを加速させているようです。
POTENZAとともに再び加速し始めた脇阪選手の走りにぜひ注目してください。
元86/BRZレーサー(実は2013年初代ポールシッター)。
2023年BMW&MINI Racingレースディレクター。