Motor Sports / Time Attack > TOYOTA GR86/BRZ Race 2022 Report > ニュータイヤPOTENZA RE-09Dがデビュー3連勝を達成
Vol.04
ニュータイヤPOTENZA RE-09Dが日本モータースポーツの聖地・鈴鹿サーキットで開催されたTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2022の第4戦で、プロフェッショナルシリーズに投入されました。
RE-09Dのデビュー戦となった鈴鹿では、予選2位の#7堤 優威選手(POTENZA)がスタートで先頭に立つと、その後も要所を抑えた走りでトップでチェッカー。さらに、予選4位の#160吉田広樹選手(POTENZA)と予選5位の#552地頭所 光選手(POTENZA)がそれぞれ2位、3位表彰台を獲得し、RE-09Dがデビューウィンとともに表彰台を独占しました。さらに#552地頭所 光選手(POTENZA)は2'27.748のタイムでファステストラップを獲得しました。
続く最終戦は、岡山県の岡山国際サーキットでダブルヘッダーとして開催されました。土曜日の予選では#160 吉田 広樹選手(POTENZA)が1'45.302のタイムで第5戦のポールポジションを獲得した、午後の決勝でも危なげない走りでトップを快走。自身初の優勝をポールトゥウィンで飾りました。翌日に行われた第6戦の決勝では、8番グリッドからスタートした#7堤 優威選手(POTENZA)が見事な逆転優勝で、今季2勝目を挙げ、POTENZA RE-09Dがデビューから3連勝を飾りました。
今回は、優勝ドライバーのコメントと、開発チームの言葉からニュータイヤPOTENZA RE-09Dの性能と魅力をレポートします。
開幕からGR86のドライでの速さに自信を見せていた堤優威選手は、すっきりと晴れ渡った鈴鹿でのRE-09Dデビュー戦で今シーズンの初優勝を飾ると、その勢いのままに最終戦でも優勝を飾り、唯一の複数優勝を達成しました。
POTENZA RE-08Dとの相性も良かったと語る堤選手ですが、RE-09Dはレースラップの性能がさらに向上したと実感したといいます。
「今シーズンはドライセットの調子がよくて、タイヤがRE-09Dになってからも、RE-08Dのときとフィーリングも変わることなく性能が向上しているので、とても助かっています。クセがなくてどんなドライバーでも扱いやすいタイヤだと思います。岡山では、予選での速さを引き出すことは難しかったのですが、レースラップでのアドバンテージはとても大きいと実感していたので、決勝では自信を持って走り切ることができました。」
扱いやすさや安定したパフォーマンスは、RE-08Dの性能を引き継ぎながらも、決勝中のパフォーマンスがさらに引き上げられていると堤選手は語りました。
一方、鈴鹿での第4戦で2位表彰台を獲得し、岡山での第6戦では見事なポールトゥウィンで自身の初優勝を飾った#160吉田広樹選手は、RE-09Dと高剛性ホイールPOTENZA RW007の組み合わせが、マシンセッティングにぴたりとハマったと語ってくれました。
「RE-09DとRW007の組み合わせは、コーナーの立ち上がりからの蹴り出しが良いので、勝負どころとなる中低速コーナーで大きなアドバンテージになりましたね。ハンドルを切った状態でも、前にしっかりとトラクションを発揮してくれました。さらに蹴り出しからの伸びもあるので、並走状態でも余裕を持って前へ行くことができます。初優勝を手にすることができたのも、マシンの性能をしっかりと引き出せるように、しっかりとセッティングを詰めてくれたチームの方向性と、RE-09DとRW007が上手く噛み合った結果だと思います。」
異なるチームでありながらも、GR86の性能を最大限に引き出すセッティングに、ニュータイヤRE-09DとRW007の組み合わせがしっかりとマッチしていたことがふたりの言葉からうかがえます。
また、RE-09DとRW007、そしてGR86の開発ドライバーである佐々木雅弘選手も、ホイール剛性の高さがレースにおいていかに重要な要素となっているかを語ってくれました。
「マシンのシャーシも、サスペンションもタイヤも、年々剛性が上がってきている中で、ホイールにも同様にしっかりとした剛性の高さが求められるようになってきていると思います。ホイールの剛性が高いことで、タイヤのグリップから伝わるフィーリングのラグを抑えることができますし、タイヤの扱いやすさにつながってきます。RE-09Dは、RE-08Dと比べてもパターン剛性が上がっていますし、外側のブロックがより大きくなったことで、さらにグリップを引き出せるようになっています。タイヤと路面の状況、どこがグリップしているのかをしっかりと把握できることが、鈴鹿からの3連勝という結果につながったと思います。成果として、鈴鹿での表彰台独占と終盤での3連勝と結果を残せたのは良かったですし、開発ドライバーとしてとても誇らしいのですが、本音を言えば自分の力で証明したかったですね(笑)。」
後半戦の3連勝は、クルマと路面の状況をより的確に把握できる高剛性ホイールと高剛性タイヤが、サーキットのドライビングにおいて確かなアドバンテージとなることを、RE-09DとRW007の組み合わせで参戦するドライバーが証明したと言えるでしょう。
さらに、開発チームの源馬さんがRE-09Dの進化したポイントを語ってくれました。
「RE-09Dは、コーナーでのグリップ性能をさらに引き出すために、外側のブロックをRE-08Dよりも大きくしています。また、横に力が働いた際にも、しっかりと剛性を発揮できるよう、RE-08Dでは斜めに入っていたラグ溝の方向も、より横に寝かせた形に変更してあります。今回、パターンを大きく変更したことで性能を引き伸ばすことができました、構造などの変更には着手していないので、まだまだ伸びしろのあるタイヤだと思っています。」
開発チームの加藤さんも続きます。
「開幕からタイヤのデータがだんだんと集まってきたことで、RE-09Dでは、路面接地圧の分布などを最適化しつつパターン剛性を上げることができました。また外側のブロックが大きくなった分、主溝の位置も内側へずれてくるのですが、この点は、路面接地圧の分布からの最適解と、グリップの向上をクロスオーバーさせる感じで位置やブロックの大きさを調整しています。鈴鹿では、RE-09Dユーザーが表彰台を独占しましたが、これからさらにデータを蓄積していくことで、RE-07Dのようなマシンの性能を最大限引き出せる勝てるタイヤが作れると思っています。」
1シーズン全5大会という短い期間の中で見せたPOTENZAの進化は、速さを求め続けてきたPOTENZAのDNAが顕在化した結果だったと言えるでしょう。
来年は、マシンもドライバーもさらにレベルアップしていくことが予想されるだけに、ともに進化を続けるPOTENZAの来季の走りにも期待が持てそうです。
2023シーズンにPOTENZAが見せる走りに、ぜひご期待ください。
元86/BRZレーサー(実は2013年初代ポールシッター)。
2022年シーズンはスーパー耐久(#59 DAMD MOTUL ED WRX STI)に参戦。
2016-19 ST-2シリーズチャンピオン
2022年BMW&MINI Racingレースディレクター。