Motor Sports / Time Attack > TOYOTA GR86/BRZ Race 2022 Report > POTENZAドライバーが十勝スピードウェイの魅力を語る
Vol.03
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cupの第3戦が北の大地・北海道の十勝スピードウェイで開催されました。
金曜日に行われた雨の占有走行では、トップタイムをマークしたNo.34佐々木雅弘選手(POTENZA)を筆頭にPOTENZA RE-08Dユーザーが上位5台を占め、ウェットでの高い走行性能を証明しました。迎えた土曜日の予選は、コースインのタイミングから路面が徐々に乾いていくという不安定なコンディション。各ドライバーのセッティングが明暗を分ける結果となり、ドライ方向のセットで臨んだNo.988井口卓人選手(POTENZA)が、1'35.843のタイムで予選2位を獲得しました。
井口選手は、ドライコンディションで迎えた日曜日の決勝でも、終始安定した走りを披露し2位でチェッカー。今シーズンの初表彰台を獲得しました。また、予選9位の佐々木選手が7位、予選15位のNo.987久保凜太郎選手(POTENZA)が10位へとそれぞれポジションを上げてフィニッシュし、RE-08Dのドライでの走行性能の高さを実証しました。
第3戦が開催された十勝スピードウェイは、GR86/BRZ Cupの中でもエントリー数が少ないのサーキットのひとつです。しかし、十勝帯広空港からは車で20分とアクセスがよく、また十勝地方の中核都市である帯広市内からも1時間以内の距離に立地しています。さらにアップダウンの少ない独特のコースも、他のサーキットにはない魅力となっています。
今回は、十勝スピードウェイでの優勝経験がある3名のPOTENZAドライバー(佐々木選手、井口選手、そして凜太郎選手)に、このサーキットの走り方と魅力についてお話を伺いました。
十勝スピードウェイは、どんなサーキットですか?
「十勝はほぼ右コーナーしかないという印象のコースです。初めて来ると戸惑いますね。僕は最初に十勝を走った時に、今自分が何コーナーにいるのか分からなくなりました(笑)」
※十勝スピードウェイのコーナー数は10(右7、左3)
と、凜太郎選手。佐々木選手が続きます。
「確かに最初は目が回るよね(笑)。でも十勝は初めて走るドライバーでも、すぐに比較的ある程度のタイムが出せるサーキットだと思います。なんとなく走ってもそこそこ良いタイムが出せる。ただしそこからさらに1秒を詰めていくのが難しくて、楽しい、そんなコース。特徴としては、コースの路面ミューが低くてややスリッピーです。ブレーキを使って速く走ろうとするよりも、上手くタイヤを転がして走らせる、そんなドライビングを意識してタイムアップを目指すイメージですね。
でも、十勝の最大の特徴は、なんといってタクティ(井口選手)が速い!こと。どんなコンディションでもコンスタントに成績を残してますからね。走り方はタクティに聞くのがいいんじゃない?」
十勝での第3戦で、今シーズンの初表彰台を獲得した井口選手。
「まわりからは、十勝得意だよね?と言われているのですが、僕的にはいつも通りに走っていて、特にこれといった攻略法のようなものはないんですよね」
実際、これまでに優勝2回表彰台4回と、井口選手の十勝スピードウェイでの成績は良い。凜太郎選手がすかさず「攻略法がない!のが攻略法ですね!」と茶化すと、佐々木選手が続けてくれました。
「間違いなくタクティと十勝の相性はいいですよ。どんなコンディションでもコンスタントに結果を出してますし、おそらくドライビングが合っているんでしょうね。僕は、どちらかというとブレーキングでしっかりと止めて立ち上がりのトラクションをより重視した走り方なんですが、タクティはアクセルオンのタイミングよりも、マシンの旋回スピードをより意識した走りをしていますね。その辺りがポイントなのかなと思います」
同じく十勝での優勝経験がある凜太郎選手にもドライビングについて聞いてみると
「僕も井口くんと同じでコーナーのボトムを高くしたい方ですね。セッティングもドライビングもふたりとも似ているところがあるので、大体どこのサーキットでも近いところを走っています。旋回スピードをより活かしたコーナリングは十勝では有利なのかもしれませんね。マシンが新型になって、トルクが上がったことで、ミスしてもリカバリーしやすくなっているので、今回の予選では雨さえ降ってくれていれば・・・と思ったんですけどね。」
新しくなったマシンについて、佐々木選手は
「GR86は、車両剛性が高いので、これまではリアのフリップを気にしながら走っていたようなコーナーでも安定していますね。トルクも上がっているので、これまで1段ギアを落としていたコーナーでも高いギアで曲がれます。リミッターは同じ180km/hなんですが、全体的にタイムが上がっていますね。」
最後に、十勝ラウンドの魅力について3人に聞いてみました。
「僕が楽しみなのは、十勝のジンギスカン、最高ですね。あとは夜の帯広。帯広の繁華街は、比較的コンパクトにまとまっているので、通りで他のドライバーと出会ってそのまま一緒に食事にいくなんてこともあるんですよ。他のサーキットではみんな滞在先が離れてしまって、夜一緒になることが少ないので、僕にとってはこれも十勝ラウンドの魅力の1つですね。」
と佐々木選手。凜太郎選手も先輩に続きます。
「夜の帯広と言えば、先輩ドライバーに呼び出されて、延々と説教をいただいたりなど良い思い出が沢山あります(笑)」
井口選手は
「ここでは、比較的良い成績を残せてきているので、相性の良さを感じていますし、走っていて楽しいです。そしてなんといっても北海道は緑、自然が多いので、来るだけで癒されます。実は自宅からだと鈴鹿よりも近いんですよね。飛行機でパッときてすぐに走れるところがいい。一般の方でも、サーキットやレースガレージのレンタル車両等を利用すれば、便利だと思いますね。」
十勝スピードウェイでは、井口選手の言葉通りレンタル車両でのレース参戦が可能です。僕(後藤)もVITAやヴィッツなどのレンタル車両で十勝のレースに参戦しています。興味のある方は、ぜひサーキットに問い合わせてみください。そして、夜のドライバーの交流が気になる方は、ぜひ来年の十勝ラウンドに観戦に来てください!
元86/BRZレーサー(実は2013年初代ポールシッター)。
2022年シーズンはスーパー耐久(#59 DAMD MOTUL ED WRX STI)に参戦。
2016-19 ST-2シリーズチャンピオン
2022年BMW&MINI Racingレースディレクター。