Motor Sports / Time Attack > TOYOTA GR86/BRZ Race 2022 Report > POTENZAとともに駆けるBRZドライバー
Vol.02
今シーズン、新型車両へのスイッチとともに「TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup」として生まれ変わったGR86/BRZ Cupの第2戦が宮城県のスポーツランドSUGOで開催されました。
ドライ予想で迎えた予選は、出走直後から降り出した雨により、上位の常連ドライバーが下位に沈み、これまで予選で苦戦していたドライバーが上位に顔を出すなど波乱の展開となりました。そんな難しいコンディションの中でも、金曜日の練習走行でトップタイムをマークしていたNo.7 堤 優威選手(POTENZA)が短いピット作業でウェットのセットに上手く合わせ込み予選8位を獲得すると、迎えた決勝でもコースレコードとなる1'37.937のファステストラップを記録して5位でフィニッシュ。POTENZA RE-08Dの速さを証明しました。
今回は、GR86/BRZ Cupの舞台で、スバルBRZの顔と言っても過言ではない、RECARO RACING TEAMのふたりのPOTENZAドライバーに新型BRZへの想いと魅力についてお話を伺いました。
かつてはCG ROBOTのチームメイトとして幾多のシーズンをともに戦ってきたNo.988井口卓人選手とNo.987久保凜太郎選手が、今シーズンRECARO RACING TEAMで再びチームメイトとなりました。
井口選手は、スーパーGTそしてスーパー耐久でもBRZを駆る、まさにBRZの顔と言えるドライバー。そして今シーズンから新たにチームに加わった凜太郎選手は、プロフェッショナルシリーズ唯一のBRZチャンピオンドライバー。そんなふたりにとって特別な想いがある新型BRZで戦うGR86/BRZ Cupについて話を聞きました。
「BRZは僕にとって、やはり特別なクルマですし、このクルマで誰よりも速く走りたいという気持ちを強く持っています。今シーズンから新型BRZになって出力が上がったことで、走っている気持ち良さがこれまで以上に増しているので、早くこのマシンで1勝したいですね。」
ミスターSUBARU井口選手がこう語れば、凜太郎選手もBRZへの想いを続けます。
「もともとのキャラクターの違いから、BRZはマシンの作り込みという部分でGR86とアプローチの方向が異なる部分もありますし、エントリー台数もGR86に比べ少ないこともあって情報収集という面でも不利な部分があります。それでも、これまで長くBRZで戦ってきて、2020年シーズンには念願だったチャンピオンを獲得することもできました。決して簡単な挑戦ではありませんが、この新型BRZで再びチャンピオンを獲得したいという強い気持ちがありますね。」
両ドライバーともに、BRZへの強い想いを持ってGR86/BRZ Cupを戦う。しかし、同一スペック車両とは言えども、GR86/BRZ Cupで求められる高い次元の走りを追求する上では、BRZであるが故の努力が求められるようです。それでも、井口選手は4台の新型BRZでGR86/BRZ Cupに臨むRECARO RACING TEAMのチーム体制に、躍進への鍵があると言います。
「今シーズン、チームは4台の新型BRZで参戦し、僕と凜太郎はPOTENZA RE-08Dを、他ふたりのチームメイトは他社タイヤを装着しています。レース毎に4台分の情報が得られ、それらをチーム内で共有し、互いに高め合っています。このチーム体制は、今後戦っていく上で、大きなアドバンテージになっていくと思っています。」
そして、RECARO RACING TEAMに今シーズンから新たに加わった凜太郎選手も、自身の決意をこのように語ってくれました。
「こうしてRECARO RACING TEAMというオールBRZの素晴らしいチームに迎えてもらったからには、少しでもチームの力になりたいですし、チームとして少しでも良い結果を出すための努力を続けていきたいと思っています。今はまだ、上位のGR86車両に追いつくために、詰めていかなくてはならないことが沢山ありますが、このチームなら必ず良い結果を掴めると確信しています。」
スバルBRZファンの期待を背負いながら、POTENZAとともにGR86/BRZ Cupでの難しい挑戦を続けるふたりは、持ち前のその明るい性格とポジティブな姿勢でレースに臨み、これまでも勝利を手繰り寄せてきました。そんな共通点の多いふたりが、再び同じにチームになったことで、互いの繋がりや関係性をどのように認識しているのか、聞いてみました。
「凜太郎とは、チームが別々な時期も、お互いにBRZドライバーとしてセッティングなどの相談をよくしてました。そういう意味では、ずっとチームメイトのような関係は続いていましたね。今シーズンから、彼がこのチームに加わったことで、これまで以上に雰囲気が明るくなると思います。また同じPOTENZA RE-08Dを使うチームメイトができたことで、タイヤの使い方やセッティングなどの見極めがより早くなってきましたね。」
井口選手に凜太郎選手も続けてくれました。
「井口くんとは、やはり互いに相手のことをよく分かっている関係なので、RE-08Dの活かし方やBRZのドライビングに関することなど、非常にスムーズに相談できます。さらにチームは4台の新型BRZで参戦する体制をとっているので、これまで以上にマシンの作り込みのスピードを上げていくことができます。今シーズンは互いに切磋琢磨して、みんなで良い結果を求めていきたいですね。え?もちろんセンパイでありライバルですから、レースでは負けませんよ〜(笑)」
難しい挑戦であっても、常にポジティブに、そして真剣にレースに取り組むこのふたりなら、今シーズンもその走りで、多くのスバルファンに喜びをもたらしてくれるに違いない。RECARO RACING TEAMのふたりのPOTENZAドライバーの走りに、ぜひ注目してください。
元86/BRZレーサー(実は2013年初代ポールシッター)。
2022年シーズンはスーパー耐久(#59 DAMD MOTUL ED WRX STI)に参戦。
2016-19 ST-2シリーズチャンピオン
2022年BMW&MINI Racingレースディレクター。