タイヤを選ぶ際、「偏平率」という言葉を目にしたことはありませんか?偏平率はタイヤの断面形状を表す数値で、タイヤの性能に大きな影響を与えます。
本記事では、タイヤの偏平率とは何か、偏平率の違いによってタイヤの性能がどのように変わるのか、また偏平率を変える際の注意点などを詳しく説明します。
タイヤの偏平率とは?

タイヤの偏平率とは、タイヤを断面にしたときの幅と高さの比率を表す数値のことです。パーセンテージまたはシリーズで表し、タイヤ側面(サイドウォール)のサイズ表示で確認できます。
表示の仕方はタイヤによって異なりますが、通常「/(スラッシュ)」の後ろに書いてある数字が偏平率です。例えば、以下のような表示であれば「45」が偏平率で、偏平率が45%(45シリーズ)であることを示します。

なお、偏平率が書かれていないタイヤもありますが、次の計算式で求められます。
偏平率(%)=断面の高さ(H)÷ 断面幅(W)× 100
偏平率の違いによって変わるタイヤの性能

偏平率の高いタイヤと低いタイヤでは、タイヤの性能が変わります。一般的に、偏平率が高いタイヤのほうが快適性能が高く、低いタイヤのほうが運動性能が高いと言われています。
それでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

偏平率の高いタイヤの特徴
偏平率の高いタイヤほど、快適性能がアップします。タイヤに厚みがあるためクッション性が高く、路面の凹凸を吸収しやすいことから乗り心地が良くなるためです。
ただし、偏平率の高いタイヤに交換すると運動性能が低下するほか、リムが車両のブレーキ部品に接触する可能性があるので、偏平率を変える場合はタイヤの販売店へご相談ください。
偏平率の低いタイヤの特徴
偏平率の低いタイヤは、エンジンのパワーを路面に伝えやすいので、運動性能が高いことが特徴です。ブレーキング性能や操縦安定性の向上、コーナリング中の横揺れや振れが抑えられるため、安定感のある走行が可能です。
見た目にも特徴があり、偏平率が低いタイヤはホイール部分が目立ちやすくなるため、よりファッショナブルな印象を与えます。

ただし、偏平率の低いタイヤに交換すると、ゴム部分の厚みが薄いことからタイヤが接地する路面の凸凹が伝わりやすくなります。そのため、一般的には乗り心地は硬く、走行音も大きめになります。
タイヤの偏平率を変える方法
上述のとおり、偏平率を高くすると運動性能の低下などのデメリットがあります。したがって、ここでは偏平率を低くする方法を紹介します。
偏平率を低くするには、以下の2つの方法があります。
<セイムリム>

セイムリムは、ホイールのサイズはそのままに、偏平率だけを低くする方法です。外径に合わせてタイヤを装着することで断面幅を広げ、偏平率を下げています。
<インチアップ>

インチアップは、タイヤの外径は変えずに、ホイールのサイズを1〜2インチアップさせる方法です。
タイヤの偏平率を変える際の注意点
- 純正タイヤ装着時の負荷能力を下回らない
- タイヤの外径は変えない
- 車体への接触、フェンダー等からはみ出さない
純正タイヤ装着時の負荷能力を下回らない
タイヤには、どのくらいの負荷に耐えられるかを示した指数「ロードインデックス(LI)」が、サイズごとに決められています。
純正タイヤは、車体や乗員、最大積載荷物の重量(負荷)を考慮して装着されているため、タイヤサイズを変更する際は、純正タイヤ装着時のロードインデックス基準を下回らないようにしましょう。
また、ロードインデックス(LI)で示されている負荷能力は、適正空気圧が充填されていないと十分に発揮されません。特にインチアップでXL規格のタイヤを装着する場合は、車両指定空気圧よりも高い空気圧を充填する必要があるので注意しましょう。
純正タイヤよりも負荷能力の低いタイヤの装着や、空気圧が不足した状態での走行は過負荷となり、タイヤの側面が波打つように変形するスタンディングウェーブ現象の原因となります。
XL規格のタイヤに関する情報や、スタンディングウェーブ現象についての詳細は、以下をご覧ください。

空気圧別負荷能力対応表
エクストラロード(XL)規格のタイヤをお求めのお客様への空気圧設定の注意、および空気圧-負荷能力対応表をご紹介します。

スタンディングウェーブ現象とは?原因や対策を解説
スタンディングウェーブ現象とは、高速走行中にタイヤの側面がウェーブ状(波状)に変形する現象です。そのまま走行を続けるとタイヤのバーストにつながります。この記事では、原因と具体的な対策を紹介します。
タイヤの外径は変えない

タイヤの外径が変化すると、走行しているときの速度とスピードメーターの表示速度に誤差が生じます。スピードメーターとの誤差は車検基準で定められており、誤差が大きいと車検に通らなくなります。
また、外径が変わるとタイヤが車体へ接触する場合もあり危険です。外径はタイヤサイズの表記に含まれておらず、偏平率だけの変更はタイヤ外径を変えてしまう可能性があるので、注意しましょう。
なお、タイヤの外径を把握するには、以下の計算が必要です。
タイヤの外径 =(タイヤの断面幅 × 偏平率)× 2 +タイヤ内径(リム径)
車体への接触、フェンダー等からはみ出さない
車体への接触、フェンダー等からのタイヤおよびホイールのはみ出しは、法規上認められていません。
<フェンダーからはみ出している例>

引用:https://www.mlit.go.jp/common/001290412.pdf
ただし、一定の角度から見て突出部分が10mm未満の場合には「はみ出していない」とみなされます(※)。10mm未満の突出が認められるのはタイヤ部分のみで、ホイール部分の突出は認められていないので、その点はご注意ください。
※出典元:https://www.naltec.go.jp/publication/regulation/fkoifn0000000ljx-att/fkoifn0000000mc6.pdf
まとめ
タイヤの偏平率とは、タイヤを断面にしたときの幅と高さの比率を表す数値です。偏平率が高いほうが快適性能が高く、偏平率が低いほうが運動性能が高いという特徴があります。
ただし、タイヤサイズ変更の際に偏平率を高くすると運動性能の低下やブレーキ部品への接触の恐れがあるので、偏平率を変える場合はタイヤの販売店へご相談ください。
偏平率を低くする場合でも、安全性や車検基準の観点から「純正タイヤ装着時の負荷能力を下回らない」「タイヤの外径は変えない」「フェンダー等からはみ出さない」ことを守る必要があります。とはいえ、ご自身で最適なタイヤを選ぶのは難しいかもしれません。
ブリヂストンのオンラインストアなら、偏平率や外径計算などを考慮する必要が無く、簡単に最適なタイヤを見つけることができます。また、店舗またはオンライン(ビデオ通話)での相談も可能です。