Motor Sports / Time Attack > Formula Drift JAPAN 2023 REPORT > FORMULA DRIFT JAPAN 2023 Report Rd.6 OKAYAMA INTERNATIONAL CIRCUIT
Formula Drift JAPAN 2023 Report
Rd.6 OKAYAMA INTERNATIONAL
CIRCUIT 10/7~8/2023
走るときはひとりでも、戦いはひとりではない
結束力がチームCUSCOの最大の強み
クスコレーシングは、草場佑介以外に3名のドライバーが所属しており
その4名と多数のメカニックで構成されている
スポンサーもタイヤメーカーも異なるそれぞれが、結束する
草場佑介とクスコは総合力で勝負しているのだ
草場佑介選手の所属するクスコレーシングの母体は、競技用パーツやチューニングパーツを開発・販売する株式会社キャロッセで、そのパーツブランドがクスコである。クスコは、創業当初からラリー競技に参戦して輝かしい戦績を残しており、現在も、社員には現役ドライバーをはじめ、ラリーやジムカーナなどの競技経験のあるスタッフも多い。過去には、ラリーだけではなく、インプレッサベースのマシンでの全日本GT選手権に参戦、またFITや86でスーパー耐久シリーズにも参戦していた。チューニングカーでは、インプレッサ(GDB)で、アメリカのタイムアタックイベントでのコースレコードを樹立するなど、さまざまな舞台でモータースポーツ活動を行ってきた。
そのクスコが、現在積極的に取り組んでいるのがドリフトだ。今シーズンは草場佑介、金田義建、松山北斗、箕輪大也の4名のレギュラードライバーで参戦。松山は昨年のFDJチャンピオンであり、箕輪はドリフトで活躍する箕輪慎治を父に持つサラブレッドで、まだ中学2年生。クスコレーシングのドライバーたちは、FDJでも注目の布陣となっている。
エンジンやボディ、足回りなどすべてクスコレーシングが製作する車両は、草場と金田がGR86。松山がGRスープラ。箕輪がGRヤリス。スポット参戦のロバンペラはGRカローラ。それぞれボディは異なるが、基本的にエンジンなどのパッケージは同じで、2Jベースのフルチューンにギャレットのタービンを組み合わせて800~1000psを発揮させる。ミッションやリア周りのサブフレームなども共通化されていて、トラブル時にはどのクルマにもパーツが使えるようになっている。
さらに面白いことに、それぞれのタイヤメーカーが異なるのだ。草場はPOTENZA、金田、箕輪、松山は他メーカーと、それぞれ異なるタイヤで戦い、スポンサーも異なる。しかし、4名のドライバーと担当メカニックたちは、お互いに路面状況やその日の採点の傾向などをはじめとした情報交換を積極的にしていて、そこにはタイヤメーカーやスポンサーの垣根はない。そして、もちろんTOP32トーナメントで対戦する可能性のある、ライバル同士でもある。
今シーズン、チーム内バトルになったことは1度や2度ではない。もちろんチームオーダーはなく、全力でバトルをする。純粋に勝負するのみで、対戦が終わればまた互いのサポートに回る。ドライバーの無線はスポッターだけでなくチーム内にも繋がっていて、それぞれのドライバーからも採点の状況や今の走りについてのアドバイスなどがされていく。走り出す前にはチームのドライバーが寄り添うことも多い。そういったチーム力があるからこそ、チームとしての強さが生まれている。
今シーズンの結果は、開幕戦鈴鹿ツインで箕輪が優勝、松山が3位、草場9位。第2戦エビスではクスコレーシングからスポット参戦したWRC王者のカッレ・ロバンペラが優勝、箕輪4位、松山7位。第3戦富士は草場8位、箕輪9位。第4戦SUGOは草場5位、松山10位、箕輪11位。第5戦奥伊吹は松山3位、箕輪5位。そして最終戦岡山ではスポット参戦のカッレ・ロバンペラが2位、箕輪3位、金田16位、松山22位、草場28位。
それぞれのドライバーがラウンドごとに入れ替わりながら好成績を収めているのだ。
そのすべてをそっと見守るのがキャロッセの長瀬努社長だ。自身も全日本ジムカーナに参戦し3度のシリーズチャンピオンを獲得。競技経験があるからこそのアドバイスを、あえて一歩引いたところから送る、いわば見守るスタイルを徹底している。ドライバーやスタッフ、チーム内の全員がのびのびとやっていることに、無関係ではないだろう。外から見ていても、ドライバー同士は仲が良い。14歳から40代までがドライビングについて、セッティングについて、対等に会話しているのだ。
そのクスコのチーム力が、草場を支える原動力だと言える。技術的にはトップレベルにある草場は、予選でのあと数点があれば優勝も見えていた。今シーズンはあえてその数点にこだわり、これまでよりも空気圧をやや下げるセッティングを選んで、より深いアングルと高いスピードでのドリフトを目指した。結果、予選上位に食い込んだ大会も多かった。そういったアグレッシブさを持ち、それを技術的にも精神的にも支えるチームクスコがあったからこそ、今シーズンの活躍に繋がったことは間違いない。
彼自身にとっては、決して満足のいく結果ではなかったかもしれないが、これからも草場とクスコレーシングは、さらなる高みを目指して進んでいくだろう。
彼の足もとを支えるPOTENZAとともに。
#77 Team Cusco Racing GR86 草場佑介 | |
予選27位 | 79点(ライン24点アングル24点スタイル31点) |
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TOP32 | 山下 広一戦 敗退 |
Result | 総合結果28位 |
Ranking | シリーズ14位 |